世界がDX(デジタルトランスフォーメーション)を遂げる中、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の重要性はますます高まっています。APIとは、ソフトウェアが他者と通信することを可能にする一連のルールのことであり、言い換えれば、異なるアプリケーション間の橋渡し的な役割になります。ビジネスオーナーとして、最新のAPIトレンドの把握は不可欠です。というわけで本記事では、2024年に注目された11のAPIの取り組みについてお話します。
APIのトレンドに常に敏感であることの重要性
刻々と変化するテクノロジーの近代化において、最新の動向の把握はこれまで以上に重要なことであり、APIに関して言えば特にそうです。最新のAPIデザインの傾向を理解することで、どのAPIをビジネスに利用するか、十分な情報を得た上で決めることができ、さらに、APIのトレンドを把握することで、既存のAPIインフラを最新の状態に保つことができます。
企業がAPIの動向を把握し、APIを導入するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます:
- 効率性の向上:APIによる自動化を利用することで、企業のタスクやプロセスは自動化され、それにより効率性と生産性の向上につながる
- CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上:APIで、より個別化されたサービスが顧客に提供され、CXが向上する
- コスト削減:APIでタスクやプロセスが自動化され、企業のコスト削減が実現する
今年の注目すべきAPIトレンド11選
以下は、今年意識しておくべきAPIトレンドのトップ11です:
トレンドその1:サーバーレスアーキテクチャの台頭
サーバーレスアーキテクチャは、クラウドコンピューティングの一種で、オンプレミスのサーバーを管理したりプロビジョニングすることなく、アプリケーションやサービスを実行できるようにするものです。つまり、サーバーのメンテナンスに煩わされることなく、アプリケーションの構築に集中することができます。サーバーレスアーキテクチャは、コストを削減し、効率を高めることができるため、ますます人気が高まっています。
トレンドその2:API管理の成長
API管理とは、APIエコシステムを作成、公開、文書化、管理するプロセスです。APIの普及に伴い、企業のAPI管理をサポートするツールのニーズが高まっており、API管理ツールで、企業はAPIの使用状況のモニタリングやアクセス制御の管理などの作業を自動化できます。
トレンドその3:API-as-a-product(製品としてのAPI)
API-as-a-productは、人気を集めている新しいトレンドです。このAPIへのアプローチでは、APIは単に異なるアプリケーション間の通信手段ではなく、製品のように扱われます。例えば、気象データのAPIを提供するSaaS企業は、リアルタイムの気象フィード、過去の気象データ、天気予報などアプリに応じた異なる「API製品」を提供することができます。
トレンドその4:人工知能・機械学習の成長
新しいAPI開発の世界では、AI(人工知能)の重要性が高まっています。AIはドキュメントの自動生成や、利用傾向のモニタリング、改善のための推奨事項を提供することができ、AIを活用することで、企業は手作業に費やしていた時間とリソースを節約することができます。
トレンドその5:APIとチャットボットの台頭
チャットボットは、人間の会話をシミュレートするコンピュータープログラムで、通常、カスタマーサポートやその他のタスクの実行に使われます。チャットボットは、人間がコンピュータと対話するための、より自然な方法を提供することができるため人気が高まっており、さらに、チャットボットをAPIと統合することで、よりシームレスなエクスペリエンスをユーザーに提供することができます。チャットボットには、カスタマーサービス、セールス、マーケティングなど、多くのユースケースがあり、例えば、カスタマーサービス用のチャットボットは、製品やサービスに関する質問に答えるのに使うことができます。
トレンド6:IoTの成長
IoT(Internet of Things)とは、自動車や家電、ウェアラブルデバイスなどの物理デバイスがインターネットに接続されたネットワークのことです。IoTの発展に伴い、例えばサーモスタットを家庭の冷暖房システムに接続するAPIが考えられるように、機器同士やデータを接続できるAPIのニーズが高まっています。
トレンドその7:エッジコンピューティングの成長
エッジコンピューティングとは、分散コンピューティングの一種で、計算とデータ保存を必要な場所に近づけるものです。これにより、パフォーマンスがよくなり、待ち時間が短縮されます。さらに、エッジコンピューティングは、帯域幅の必要性を減らすことで、コスト削減にもつながります。
トレンドその8:API分析
API分析とは、APIからのデータを収集、分析し、それに基づいて意思決定を行うプロセスであり、この分析で、利用傾向の追跡、エラーの特定、APIの全体的なパフォーマンスの向上が可能になります。ビッグデータの台頭によってAPI分析の重要性はますます高まっており、企業はパフォーマンスとスケーラビリティ向上のために必要な情報をAPIから得られるようになりました。
トレンドその9:APIセキュリティの成長
APIの数が増えるにつれて、APIセキュリティはより重要なものとなってきています。APIセキュリティとは、APIを不正アクセスや悪用、ハッカーから保護するための対策を指し、標準的なAPIセキュリティ対策には、認証、認可、レート制限などがあります。
トレンドその10:オープンソースAPIの台頭
オープンソースAPIの普及が進んでいます。オープンソースAPIは通常、誰でも無料で使用・変更できるため、ソフトウェア開発コストを節約したい企業にとって最適な選択肢となります。さらに、オープンソースAPIは、既存のインフラストラクチャ統合する方が簡単でしょう。
トレンドその11:ローコードおよびノーコードプラットフォーム
ローコードやノーコードのプラットフォームで、企業は開発に費やす時間とコストを削減できるため、人気が高まっています。このようなプラットフォームで、ユーザーがコンポーネントをドラッグ&ドロップしてアプリケーションを作成することができるビジュアルインターフェースがもたらされます。さらに、ローコード/ノーコード・プラットフォームには、開発を加速させるために使用できるテンプレートがあらかじめ用意されていることがよくあり、それがチームメンバーのデベロッパー経験に関係なく、企業がAPIをカスタマイズできるようにするための重要な要素になります。
このようなトレンドをビジネスに取り入れるには
さて、最新のAPIトレンドを把握したところで、次はそれをどのようにビジネスに導入するかを考え始める時間です。何から始めればいいのか分からない場合は、API戦略を構築する際に以下のヒントを検討しましょう:
- 既存のAPIを評価し、改善または置き換えが可能かどうかの確認をする。
- AIを使用して、API 開発プロセスに関連するタスクを自動化する。
- カスタマーサポートや製品・サービスのプロモーションのためにウェブサイトやアプリにチャットボットを導入する。
- エッジコンピューティングを活用し、パフォーマンスの向上と遅延の低減を図る。
- アプリケーションをパッケージ化し、デプロイと実行をしやすくするためにコンテナ化を使用する。
- 不正なアクセスや悪用からAPIを保護するために、APIセキュリティ対策を行う。
- オープンソースのAPIを利用し、開発コストを削減する。
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