APIドキュメントをゼロから書くのは時間と手間がかかるため、多くの企業は作業の簡素化にAPIドキュメント化ツールが欠かせません。こういったツールは、ドキュメント作成と管理のプロセスを自動化し、技術的なバックグラウンドを持たないユーザーでも読みやすく、理解しやすい方法で情報をドキュメント化して表示してくれます。

​​ただ、どのツールがあなたのビジネスに合うのでしょうか?

本記事では、なぜAPIドキュメント化が必要なのかを探り、現在利用可能なベストなツールを5つを選び、それがどのようにあなたのビジネスに合うのかを考察します。

API ドキュメントが重要な理由

APIドキュメントは、特定のAPIがどのように動作し、何ができるかを説明する、人間や機械が読める技術的なコンテンツです。その目的は、1)APIを詳細に説明する正確な参考資料であることと、2)ユーザーがAPIを使い始められるようにするためのガイドと教材としての機能の2つです。

正しく行われたAPIドキュメントは、APIがどのように動作するかについての唯一の真の情報源として機能します。関数や引数、クラスなどに関する詳細が、デベロッパーと非技術系ユーザーの両方にとって理解しやすい構造で書かれていなければいけません。多くの場合、チュートリアルや例が含まれており、別々のパーツがどのように連携して動作するのかをユーザーがより理解しやすくなっています。

高品質なAPIドキュメント作成への時間とリソースの投資は、以下のような多くの利点につながります:

  • オンボーディング時間の短縮 :顧客や社内ユーザーは、APIの利用を始めるのに必要な情報にすぐにアクセスでき、その恩恵を受けられます。
  • サポートへの依存の軽減 :いいドキュメントは、APIの専門家への負担を減らし、他のユーザーが自分で答えを見つけるのを助けます。これは、あなたのAPIが社内だけであろうが、何千もの顧客に利用されていようが関係なく当てはまります。
  • 非エンジニアリングユーザーへの働きかけ :APIドキュメントは、コーディングをしない同僚の理解を深めることで、APIとデータがビジネス目標を達成するのにどのように利用できるのかについての話し合いを、もっと実りあるものにできます。
  • 導入率の向上 :APIドキュメントが使いやすいと、新しいユーザーはAPIをさっと使い始められます。より良いユーザー体験の提供によって、企業はより多くの口コミマーケティングから恩恵を受け、より速い導入につながります。
  • ユーザー満足度の向上 :顧客や同僚が喜べば、ビジネスの評判は上がります。

素晴らしいAPIドキュメントの条件

素晴らしいAPIドキュメントの作成とは、詳細な技術情報の提供と、それを解釈しやすい方法での表示のバランスをとる微妙な作業であり、うまくいっている企業の例を見れば、その作業をどのようにすべきかがよくわかります。そしてありがたいことに、そうした例を見つけるのは難しくはないです。

多くの人気ツールは、サードパーティのデベロッパーが簡単にアクセスできるように、APIドキュメントをオンラインで公開しています。StripeとTwilioは、正しく行われたドキュメンテーションの素晴らしい例です。ソリューションは社内で開発されていますが、彼らが示すベストプラクティスは、独自のAPIドキュメントを作成しようとしている企業にとっても参考になりますす。このドキュメントのセットがなぜ効果的なのか、その理由をいくつか挙げてみましょう:

  • ユーザーが実際にどのように機能するかを確認できるように、ドキュメントにサンプルコードが用意されている。
  • 多忙なデベロッパーが必要なものをすぐ得られるように、​​よくある問題の解決策が探しやすくなっている。
  • ユーザーが忙しく働いていて問題が発生したとき、余計な情報ではなく、使えるドキュメントのみを求めてくることから、APIとその動作が検索結果以外の不要な情報は出さない。
  • 一定の知識レベルを前提としていない:簡単なものでも一番難しい問題と同じくらい丁寧に説明されている。
  • 書式が整っている:整理され、一貫性があり、読みやすくなっているコンテンツにより、学習や問題解決に取り組むユーザーの摩擦を減らすことができる。

どの仕様がベストなのか

APIドキュメントの書き方は一つではなく、ソフトウェアによって色々な仕様が使われています。その仕様はそれぞれ、APIを記述する際の基準やスタイルが規定されており、以下の3つは最も受け入れられているものです:

  • OpenAPI(旧Swagger):最も一般的な仕様。オープンソースであり、MicrosoftやGoogleなどの企業が支援している。API要素の記述のために、特定のスキーマを持つJSONオブジェクトを使う。
  • RAML :YAML(YAML Ain't a Markup Language)ベースのRAML(RESTful API Modeling Language)は、トップダウン・アプローチで、明確で一貫性があり、正確なドキュメント作成のために使用される。
  • API Blueprint :もう一つのオープンソースの仕様で、非常にアクセスしやすいようにデザインされている。Markdownに似た記述言語を使用し、API作成時にデザインファーストの哲学を貫くような状況で抜きん出ている。

これらのオプションはすべてうまく機能しますが、ここ数年、最も勢いがあるのはOpenAPIフォーマットです。大手企業の支援によって急速に大規模なコミュニティになり、その結果、利用可能なツールの種類も最多になっています。このため、どの仕様にするか迷っている企業にとっては、選択肢が広く、行き詰まったときにコミュニティのサポートを受けられる可能性が高いので、良いチョイスだと言えます。

APIドキュメントツール5選

市場に出回っているAPIドキュメンテーションツールには事欠かきません。以下は、私たちが選んだベストオプション5選です:

① Swagger UI

Swagger UIは、インタラクティブなAPIドキュメント作成のための一般的なツールです。ユーザーがOAS(OpenAPI Specification)ドキュメントを入力すると、Swagger UIがHTML、JavaScript、CSSを使ってフォーマットに落とし、見栄えのよいドキュメントを作成します。

Swagger UIは、Swaggerエコシステムの一部であり、幅広いツールがあります。その多くはSwagger UIを含むオープンソース、およびプレミアムバージョン(SwaggerHub - 後述)です。

Swagger UIの利点:

  • 完全なカスタマイズ性:ユーザーは完全なソースコードにアクセスでき、自分の用途に合わせたSwagger UIの微調整や、他のユーザーによる微調整を利用できる。
  • OAS 3.0 をサポート:OpenAPI 仕様バージョン 3.0 および古い Swagger 2.0 と共に動作する。
  • 非常に人気がある:問題が発生した場合、他のユーザーからサポートを受けやすい。

Swaggerは、使用するOAS(OpenAPI Specification)ドキュメントの作成をサポートすることで、Swagger UIを補完する他のオープンソースツールも提供しています。Swagger Editorで、ユーザーは独自のOAS定義の作成と、それのSwagger UIの可視化ができ、Swagger Inspectorで、ユーザーがAPIエンドポイントからOAS定義を自動生成できます。

(参考)

② SwaggerHub

SwaggerHubは、Swagger UI、Swagger Editor、およびSwaggerエコシステムの他の多くの部分の機能を統合したプレミアムプラットフォームです。ビジネスおよびエンタープライズユーザーを対象としており、ドキュメントのワークフローの最適化のためにデザインされた多くの追加機能が含まれています。

SwaggerHubの利点:

  • ワンパッケージ :Swagger UIとは異なり、追加のソフトウェアを探すも必要なく、完全なAPIドキュメントツールセットが備わっている。
  • ドキュメントの自動生成 :デザイン時にインタラクティブなAPIドキュメントの自動生成が可能。
  • 改善された連携ツール:パーミッションとユーザーロール、リアルタイムでのコメント、課題追跡、チーム管理ツール。

Swagger UIやこのリストの他の多くのオプションとは異なり、SwaggerHubは有料のソリューションですが、APIへの依存度が高い大企業にとっては、価値ある投資かもしれません。

(参考)

③ ReDoc

ReDocは、OAS 2.0とOAS 3.0をサポートする、無料のオープンソースドキュメント作成ツールです。ReDocを使用することで、企業は見栄えのいいインタラクティブなAPIドキュメントをオンラインでぱっと公開できます。

ReDocの利点:

  • 柔軟性 : ReDocはブラウザで実行できますが、Dockerイメージ、Reactコンポーネント、コマンドラインツールとしても利用できる。
  • スタイリッシュ&レスポンシブ :この格好いいテーマは完全にレスポンシブで、どんな画面サイズやブラウザでもうまく動作し、さらに、フォントのカスタマイズ、色の変更、ロゴの追加が可能。
  • 簡単なナビゲーション :カスタマイズ可能なナビゲーションバーと検索ボックスにより、ユーザーに必要な情報がさっと見つかる。

(参考)

④ DapperDox

DapperDoxは、OAS2.0とOAS3.0の両方に対応するオープンソースのOpenAPIレンダラーです。

DapperDoxの利点:

  • Markdownコンテンツの統合 :OpenAPI仕様とGFM(GitHub Flavored Markdown)で作成された図の組み合わせが可能。
  • 良いドキュメント :初めて使う人にも優しい、わかりやすく書かれたドキュメント。
  • APIエクスプローラ:DapperDoxAPIエクスプローラーにより、ユーザーはAPIドキュメントの中から実験可能。

(参考)

⑤ OpenAPI Generator

OpenAPI Generatorは、OAS 2.0 と OAS 3.0 のドキュメント、およびサーバのスタブやライブラリ生成のための使いやすいツールです。パワーを犠牲にすることなく比較的シンプルで使いやすく、例えば50以上のクライアントジェネレータをサポートしているように、拡張性が高いことで知られています。

OpenAPI Generatorの利点:

  • コミュニティによるサポート : 経験豊富なユーザーによる大規模なコミュニティがあり、議論しながら使用しているため、ドキュメント作成時の貴重なリソースとなりうる。
  • サーバスタブ :PHP、Java、GOなど40以上の異なる言語用のサーバスタブの作成が可能。
  • ドキュメント形式: OASドキュメントをHTMLやCwiki形式に変換可能。

(参考)

Integrate.ioでAPIを管理する

Integrate.ioAPI管理サービスは、Swaggerを使って、作成したすべてのAPIに対してライブのAPIドキュメントを生成します。

以下は、使用する際の利点です:

  • 自動:チームには、いつでも最新で正しいドキュメントが用意され、忙しいデベロッパーがするドキュメント更新を待つ必要がない。
  • インポート: サードパーティのAPIでの作業も問題なし。そのOASドキュメントをIntegrate.ioに取り込むことで、ユーザーが自分のドキュメントと同じようにアクセス、閲覧が可能。
  • 管理者権限:管理者権限を持つデベロッパーだけがドキュメント修正をできるようにすることで、ドキュメントの作成を防止。その他のユーザーは閲覧のみ可能。
  • 完全なインタラクティブ: チームは、APIの起動から数秒以内にライブでインタラクティブなドキュメントにアクセスが可能。

Integrate.ioを使えば、数十から数百のREST APIを簡単に作成、管理、ドキュメント化できます。プロフェッショナルなフル機能のREST APIを数秒で作成でき、高い安全性を備え、1つのプラットフォームからすべてのAPIの集中管理が可能です。

データ統合プラットフォームであるIntegrate.ioでは、企業はクラウド上でデータの統合、処理、分析のための準備を行うことができます。コードや専門用語を有しなくても使用できる環境であるため、ハードウェア、ソフトウェア、または関連インフラに投資することなく、どのような組織・個人でもビッグデータがもたらす機会をご享受頂けます。
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