現代のビジネスは、ビジネスデータを保存し、そのデータをあちこちに移動させるなど、ソフトウェアで成り立っています。
昔は、ソフトウェアがデータをサイロ化した形で保存していました。つまり、データは1つの場所でしか利用できず、他の場所からは切り離されていたということです。なので企業にとって、さまざまな場所からデータを引き出すのは大変であり、さらにそれを意味のある形で組み合わせるのは、なかなか難しいことでした。
このように孤立したデータは、潜在的な価値のほんの一部しか提供されませんが、現代のアプリケーションでは、データは自由であるように望まれています。そこで、ウェブの登場によって、どこでもデータが手に入るようになり、データの共有は、ソフトウェアのパワーに飛躍的な影響を与えました。アプリケーションは、何らかの形で API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使ってデータを共有します。利用可能な API の爆発的な増加に伴い、そのすべてを管理するのはより大変になっていますが、API 統合があれば、新しい API の組み合わせや、追跡、追加ができるのです。
API 統合:歴史
その昔、データベースは膨大な量の情報を保存や検索するための画期的なツールとして登場しました。それまで不可能だった規模の検索が可能になり、紙ベースだった記録がデジタル時代に突入し、企業は、多くの質問に簡単に答えられるようになった新しい能力に感激したものです。
ところが、ソフトウェア産業が進化するにつれ、新しいタイプのアプリケーションやデータベースが出現してきました。このような様々なデータベースは、データ統合の必要性がますます明らかになるにつれ、問題を引き起こすようになりました。というのも、データは個々のアプリケーションの中に散らばっており、組織全体でシームレスにアクセスし活用することができなかったのです。それで企業は、知らず知らずのうちに、データのサイロを作り出していたのでした。
データの解放には、システム同士の通信が必要でした。1970年代後半になると、RPC(Remote Procedure Call:遠隔手続き呼び出し)システムが登場するようになり、それによって、共通のインターフェースとデータ形式が提供され、その結果、コンピューター同士の通信が可能になりました。今日の基準で言えば、このアーキテクチャを作るには、非常に多くの専門知識が必要でした。複雑なコーディングが必要で、脆弱で、高価なものでしたが、それが功を奏し、このアーキテクチャのおかげで、それまで閉じ込められていたデータが動き出したのです。
時を経て、RPCの実装はより強固になり、標準化されました。1980年代後半から 1990 年代前半にかけては、例えば CORBA (Common Object Request Broker Architecture)や Microsoft の DCOM(Distributed Component Object Model) のように、標準化が盛んに行われました。
標準化によって、通信可能なコードを書きやすくなったり、別々のチームが独立して作業をし、システムの組み合わせができるようになりました。また、トランスポートの仕組みやメッセージの信頼性が向上したことで、よりよい仕事ができるようになりました。ただ、今日の基準からすると、このような技術はまだ難しく、値が張るものでした。ある有名な論文では、デベロッパーが感じていた痛みにスポットが当てられ、業界では、解決策を見出すべく地道な模索が続けられていました。
1990年代には『WWW(World Wide Web)』は学術研究の枠を超えて普及し始め、90年代後半になると、デベロッパーは 『HTTP(Hypertext Transfer Protocol)』を使って通信を行うようになりました。これは、「【A】という地点から【B】という地点にどうやってメッセージを送るか」という問題を解決するための規格であり、Windows や Linux などの一般的な OS がネイティブにサポートしていました。HTTPは、ネットワーク用の80番ポートを使っており、ウェブブラウジングが盛んなため、ファイアウォールではデフォルトでこのポートが開かれていましたが、データをどのような形で送るかについては、まだ意見の相違がありました。
当初、ソフトウェア業界では2つのフレームワークが取り入れられていました。 WSDL(Web Services Description Language) はデータとサービスのフォーマットを確定し、SOAP(Simple Object Access Protocol)は、それを送信する方法を説明しました。この2つの仕様の組み合わせにより、HTTPを介した通信の「ルール」が定められました。理論的には良いアイデアなのですが、この2つの仕様にはすぐに圧倒されてしまいました。メンテナンスが大変で、実装にも手間がかかるのです。「過ぎたるは及ばざるが如し」と言うべきでしょうか。
そして2000年、ロイ・フィールディング氏は画期的な論文を発表しました。その中で彼は、REST(Representational State Transfer)アーキテクチャについて述べていますが、このアプローチは、以下を公開する簡単なメカニズムを提供しています:
- 注文、顧客、アカウントなど、システム内の何かを表すリソース
- 既存のHTTP動詞(GET、POST、PUT、DELETE)を使って表現される、それらに対するアクション
このように、ビジネスの実体と運営をシンプルに表現することは、非常に有効です。それによってRESTが以前のアプローチの複雑さやオーバーヘッドを大幅に解消してくれるので、もう定義やスキーマ、規格に悩まされることはないのです。そしてコンシューマーは、リソースに対してアクションを起こします。とてもシンプルです。
このような近年の進歩により、API 作成はついにほとんど誰でも手が届くようになりました。それ以来、利用可能な API の数が爆発的に増えているのを目の当たりにしています。ほとんどすべての機能領域に対応するAPI が存在し、消費されており、ProgrammableWeb によると、公開されている API は2万以上あるとのことです。そしてこの急成長は、API ディレクトリと管理ソリューションのエコシステムを作り出しました。
API 統合:統合
API がこれほど業界に浸透したことで、API 統合がこの上なく重要になりました。データの海があれば、何千もの場所からデータを引き出すことができます。また、効果的なアプリケーションは、さまざまなAPIを活用して、以下のようにその力を最大限に引き出します:
- 現在と過去両方での、事業に属する内部データ
- すでにAPI を備えている最新のシステムで、データが "生きる "ことができる
- 旧式のデータベースに埋もれ、隠されているデータが存在する可能性がある場合、重要な過去の傾向や詳細がわかるようになる。
また、データは外部ソースからの取得もでき、それには以下のようなものがあります:
- 金融市場に関するリアルタイムのデータ
- 各地域の天気に関する情報
- 都市、高速道路、鉄道の交通データ
- 出生と死亡。結婚と離婚
最新のアプリケーションでは、このようなデータを検索、フィルタリング、結合することができます。一度に複数のデータソースへのアクセスもでき、アプリケーションの実用性とパワーが高まります。もはや企業は、膨大なデータセットを自ら構築する必要はなく、誰かがデータを集めて公開すれば、そのコストは二度と発生しません。例えば、Google Maps の API を見てください。世界中の道路、場所、国境を全て地図にするコストは天文学的な数字になりますが、それが終わった今、またそれをする必要はないですよね。API統合では、すでに存在するものを知ることで、ビジネス上の問題解決が速まるのです。
多くの場合、毎回1から始める必要はなく、単に既存のAPIからデータを引き出すだけでよく、 API ディレクトリはその検出のお手伝いをします。その際、適切なサービスを電話帳のように閲覧でき、徹底したドキュメントとチュートリアルが提供されます。
クライアントライブラリにより、API を速やかに利用できます。ディスカッション・ボードは、使い始めの際にサポートしてくれるコミュニティが提供されます。こういったツールを駆使して、デベロッパーは ”巨人の肩の上に立てる” のです。
一方、企業は自らの貴重な情報を公開 API で公開することを選択できます。API をホスティングすることで、企業は自社のデータを他者に提供することができ、それによって、サイトへのトラフィックが促進され、彼らの評判が構築されます。もし、その情報が十分に価値のあるものであれば、企業は API へのアクセスに課金するのもいいでしょう。かつてはコストだったものが突然収入源になるのです。API を API ディレクトリに登録することで、他のデベロッパーに自社のビジネスを宣伝することができ、このような行動は、データの価値に乗数効果をもたらします。消費者はシステムにフィードバックし、それによってデータが改善されるのです。
API 統合:ベストプラクティス
API をビジネスに統合する場合、確実に円滑にうまくいかせるためのベストプラクティスが数多く存在します。その中でも、特に重要なものを以下にいくつかご紹介します:
1. ビジネスニーズを明確に理解するところから始める:API の統合の開始前に、何を達成したいのかを明確に理解することが非常に重要です。これにより、使用する適切な API の特定ができ、そのAPI が確実にビジネス戦略全体と合致するようにできます。
2. セキュリティのための計画:他のテクノロジー導入と同様、API 統合の際には、セキュリティを最優先する必要があります。つまり、使用する API が確実に安全であること、そしてデータを保護するための適切なセキュリティ対策がきちんと講じられているようにするということです。
3. 徹底的にテストする:API 統合の開始前に、それが確実に予想通りに動作するようにするために、機能性、パフォーマンス、スケーラビリティなど、徹底的にテストすることが基本です。
4. モニタリングとメンテナンス:API 統合が始まったら、確実に予想通りに動作し続けるように、使用状況やパフォーマンスの測定基準の追跡、発生した問題への対処など、API 統合を監視しておくことが重要です。
5. ドキュメントを最新に保つ:明確な最新のドキュメントは、統合の成功には不可欠です。これによって、デベロッパーは API の使用方法、予想される入出力、そして統合プロセス中に発生する可能性のある問題のトラブルシューティングを理解することができます。
6. 既存のツールや技術を活用する:API 管理プラットフォーム、SDK(ソフトウェア開発キット)、統合フレームワークなど、API 統合に役立つツールやテクノロジーは多数存在します。それを活用することで、統合プロセスが効率化され、全体的なパフォーマンスが上がります。
API 統合は DX(デジタル変革)の基本的な要素であり、API 統合によって、組織はシステム、アプリケーション、およびプラットフォーム間でデータの接続や共有が可能になります。API 管理の重要性を理解し、ベストプラクティスに従うことで、組織は API 統合を確実に安全で効率的、かつ信頼性の高いものにすることができるのです。
また、API 統合は継続的なプロセスであり、最新のテクノロジーと業界標準に対応するために継続的な監視と改善が必要であることも忘れてはいけません。API の統合を優先し、ベストプラクティスに専念する組織は、進化し続けるデジタルの状況をうまく切り抜け、市場での競争力を高めることができるでしょう。
API 統合の利点
API 統合は、組織に以下のような様々なメリットをもたらします:
効率化:企業は、APIを通じてさまざまなシステムやアプリケーションを統合することで、プロセスの効率化やタスクの自動化が実現され、その結果、より効率的なワークフローが実現します。そしてそれによってコスト削減と生産性の向上につながります。
拡張性:API の統合により、既存のインフラに大きな変更を加えることなく、新しいシステムやアプリケーションを既存のアーキテクチャに追加できるため、拡張しやすくなります。そのため、企業は変化するビジネスニーズに対応しやすくなり、事業拡大に合わせて成長することができます。
イノベーション: API の統合により、企業はクラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI(人工知能)などの最新のテクノロジーやサービスを活用し、新しく革新的な製品やサービスを生み出すことができるようになります。それによって、企業は競争に打ち勝ち、新たな収益源を生み出すことができます。
データ統合:API によって、さまざまなシステムからデータをシームレスに統合できるため、企業は新しいインサイトを得られ、データに基づいたより良い意思決定を行えるようになります。これは、意思決定のために大量のデータに依存している企業にとって、特に重宝するものです。
CX(カスタマーエクスペリエンス):API の統合により、企業は異なるシステムから顧客データを統合することで、よりシームレスで個別化された CX を実現することができます。それにより、企業は顧客をもっと理解してより個別化されたサービスを提供し、最終的には顧客満足度とロイヤルティが上がります。
API 統合の利点で、組織がより効率的に、スケーラブルに、革新的に、データ主導で、顧客中心になることができ、重要なセキュリティも改善されます。API を適切に実装し管理することで、企業は成長と成功のための幅広い機会を手に入れることができるのです。
Integrate.io
API を利用してビジネスを強化するという考えに納得したら、次は何でしょうか。もし、ビジネスが多数の別々のデータストアの上に成り立っているなら、この作業は大変なものになるかもしれません。各システムの API レイヤーを開発するためのコストは、数千人のデベロッパーの時間を費やすことになる可能性があります。時間と労力は他に当てた方がいいですよね。お金だって他のことに使われる方がいいです。でも、このような APIレイヤーを生成できたらいいと思いませんか?データを全て最新の REST APIで利用できるようにする、ある種のコード生成メカニズムがあったらどうですか?皆さん、その日は近いですよ!
Integrate.io が、API 統合を行うシステムを構築しました。簡単な設定から始まり、マウスを数回クリックするだけで、Integrate.io は強力な API を生成します。データベース接続とレガシーな SOAP API を入力すると、強固な REST API が生成されます。キラリと光るドキュメントも完備。開発チームが何ヶ月もかけて作ったようなものが、数分で使えるようになるのです。
詳しくは、Integrate.io Academy の初心者向けビデオをご覧いただくか、https://guide.dreamfactory.com のガイドをご覧ください。
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