経営者にとってのデータ統合のメリットは以下の通りです:
- よりスマートなデータ主導型の意思決定の実現のための隠れたトレンドや繋がり、インサイトの発見
- 従業員の手作業の軽減による、より高いレベルの収益を生み出す活動への注力の実現
- 不正確な情報、古い情報、重複する情報の削除による、データの品質の向上
- 自社の顧客と潜在顧客に対する顧客360度ビューの実現
- 組織全体のデータガバナンス強化の確立
- データのサイロの解消及び、情報を必要とする全ビジネス関係者への情報の可視化
小さなスタートアップから巨大な多国籍企業に至るまで、最近ではほとんどすべての企業がビッグデータの威力を認識しています。そして大量のデータを効率的に処理・分析することで、企業はビジネスプロセスの効率化や競合他社との競争優位の獲得、顧客体験の最適化及び、より賢明なビジネス決定が実現します。
BI(ビジネスインテリジェンス)とデータ分析の価値については誰もが認めるところですが、成熟したBIと分析のワークフローをうまく導入している企業ははるかに少ないのが現状です。BIと分析への道のりの第一歩は、分析と意思決定をしやすくするためにすべての情報を1つの場所に集める「データの統合」なのです。
ビジネスの規模や業種に関係なく、綿密なデータ統合戦略によってさまざまなメリットが得られます。というわけで本記事では、経営者にとってのデータ統合の利点と、データ統合の実際の使用例についてお話します。
データ統合 とは
データ統合は、データウェアハウスやデータレイクなど、異なるソースからの情報を一元化してまとめるプロセスです。これらのデータソースが単一の統一ビューに統合されると、ビジネス分析ワークロードがずっと実行しやすくなり、主要なステークホルダーに実用的なインサイトをもたらすことができます。
最近では、データ統合のワークフローとして、ETL(抽出、変換、格納)が主流となっており、そのデータ統合プロセスは、3つのステップで構成されています:
- 異種ソースからの生データ抽出
- データ品質向上と、ターゲットスキーマへの適合のための情報の変換
- 処理と分析をしやすくするための、変換されたデータをデータウェアハウスやデータレイクなどの目的地への格納。この目的地は、オンプレミスにある場合もあれば、クラウドにある場合もある。
データ統合プロセスに含まれるデータの種類は、外部ファイルや Web サイトからレガシーシステムやデータベースまで多岐にわたります。強力なデータ統合プラットフォームは、このような異なるシステムやデータセットを効率的に処理し、一つ屋根の下で結合することができなければなりません。
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データ統合 の6つの利点
もちろん、データ統合は、組織が暇つぶしに行うものではありません。データ統合は、経営者やあらゆる種類の企業にとって、多くの利点があります。
経営者にとってのデータ統合のメリットは以下の通りです:
- 手作業の低減:データ統合ツールは、さまざまなソースからの情報の抽出や、データウェアハウスでの照合が自動で行われるため、ユーザーは時間と手間のかかるデータ統合プロセスを手動で実行する必要がなくなります。
- データサイロの解消:「データサイロ」とは、たとえ他のユーザーが恩恵を受けるとしても、組織内のあるチームまたは部署のみがアクセスできる情報レポジトリのことです。データ統合プラットフォームだと、データサイロから情報を抽出し、一元化された場所で他のビジネス部門に提供することができます。
- データ品質の向上:データ統合は、データ管理における重要な要素です。例えば、同じデータの記録がIT環境の2つの異なる場所に保存されている場合、一方が他方よりも最新であることがあります。企業データを統合することで、ユーザーは常に最も高品質で最新かつ正確なデータへのアクセスができるのです。
- 顧客360°ビュー:どんなビジネスでも、ウェブサイトへの最初の訪問から最新の購入に至るまで、すべての顧客データを統合し、顧客360°ビューを実現したいと考えています。データ統合は、CRM(顧客関係管理)プラットフォームからの情報を、ERP(企業資源計画)ソフトウェアや顧客サービスツールなどの他のデータソースと統合し、包括的な顧客360度ビューを実現します。
- データガバナンスの強化:データガバナンスとは、確かなデータ戦略を確立して適用される法律や規制に準拠するためのフレームワークを指し、組織の人材、プロセス、テクノロジーで構成され、データアーキテクチャやモデリングからデータセキュリティやプライバシーまで、あらゆるものが含まれます。データ統合のための定義され自動化されたプロセスを確立することで、企業はデータガバナンスに対する包括的なアプローチを改善することができます。
- より大きな収益性:長期的には、データ統合によってビジネス運営がより可視化され、より賢明な意思決定とより正確な予測を行うことができます。データを統合することで、以前は発見できなかった隠れた関連性やトレンド、インサイトを見出すことができます。
ビジネスオーナーに向けたデータ統合の7つの活用事例
上記のようなデータ統合のメリットは実際にありますが、本格的なデータ統合戦略をまだ持っていない組織にとっては、抽象的なものに見えるかもしれません。このセクションでは、データ統合の実際の重要なユースケースをいくつか取り上げ、その詳細についてお話します。
1. サプライチェーンのデジタル化
ToolsGroupの調査によると、サプライチェーン計画プロセスのデジタル化を実現したと回答した企業はわずか7%で、58%が現在その可能性を探っているとのことです。さらに、25パーセントの企業が、サプライチェーンのデジタル化における大きな障壁として、データの品質を挙げています。
配送の遅延、製品の在庫切れ、その他の問題はすべて、企業のCX(カスタマーエクスペリエンス)、サポート、収益性に悪影響を及ぼすのに、サプライチェーンと物流の問題は、企業の収益にとって極めて重要でありながら非常に過小評価されている要因です。
しかし、データ統合で、企業のサプライチェーンをデジタル化し、最適化できるという朗報があります。異なるアプリケーションを接続し、データ品質を向上させ、データ統合プロセスを自動化することで、企業はデータ統合ツールを効果的に導入し、物流の問題をよりよく予測して回避することができるのです。例えば、eコマースサイトでは、商品データベースとERPソフトウェアを統合し、在庫が少なくなったときに新しい商品を確実に再注文できるようにすることができます。
2. マーケティング活動の改善
昨今、マーケティングチームは、幅広い領域で優れた能力を発揮することが求められています。SNS、SEO(検索エンジン最適化)、メールマーケティングなどのデジタルチャネルに加え、ダイレクト販売、印刷物やテレビ広告など、より従来型の手法もあります。
マーケティングチームには多くの活動があるため、当然ながら、実用的なインサイトの獲得に収集・発掘すべきデータが大量に存在します。データ統合戦略がなければ、マーケティング活動は、他社をリードし続けられるような開発の好機や隠れたトレンドを見逃してしまうことになるでしょう。
エンドツーエンドのデータ統合プラットフォームで、マーケティングチームのメンバーが作業をする上で必要なすべての情報を統合できるようになり、データ統合パイプラインに含まれる可能性のあるマーケティングツールには、Salesforce、HubSpot、ZohoなどのCRMソフトウェア、リードジェネレーション、Webサイト分析、SNS、コンテンツマーケティングなどのツールが含まれます。
3. 機械学習とAI(人工知能)
データサイエンス、機械学習、AI(人工知能)は、企業が企業データを扱い分析する方法を一変させました。このような技術は、失敗から学び、周囲の世界を最も正確に予測できるモデルを開発するのに「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な量の情報を利用します。
もちろん、最高の結果を得るには、機械学習やAIモデルは通常、可能な限り多くのデータへのアクセスするが必要ですが、このような学習用データセットが様々な場所にあり異なる形態をとっている可能性があるという問題があります。
例えば、非構造化データは、テキスト、画像、動画などのファイルであり、従来のリレーショナルデータベースにはうまく収まりまらず、一方、ストリーミングのリアルタイムデータは、非常に高速に到着するため、到着とほぼ同時の処理・分析が必要です。機械学習やAIのワークフローで使用するためには、このような企業データをすべて処理し、クリーンアップし、一箇所への統合が必要になります。
4. 部門を超えたチームの構築
上述したように、異なるチームや部門が情報を独り占めしている場合、有害な結果の一つとしてデータのサイロ化がありますが、データを共有しないことは、意図的でなくとも損害を与える可能性があります。
例えば、営業チームとマーケティングチームの連携は、当然ながら非常に重要ですが、この2つの部門が連携して情報交換を行わなければ、簡単にしっちゃかめっちゃかになってしまいます。例えば、「新規顧客」という言葉について、営業チームはある方法でアプローチするかもしれませんが、マーケティングチームは、例えば「ユーザーが最初に購入してからの期間」のように全く別の定義をするかもしれません。
データ統合で、企業全体からの情報収集で組織内の全員が同じ見解を持つことができ、これにより、重複するデータセットの減少や古くなった情報の更新、そしてすべての従業員が作業できる「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」の確立が実現します。さらに、異なる部門のメンバーで構成され、それぞれが独自のデータレポジトリを持つ、部門を超えたチームを作りやすくなるのです。
5. リアルタイム予測・異常検知
データウェアハウスへのETLとデータ統合の作業は、例えば、重要な意思決定者が翌朝にレポートを作成できるように夜間に行うといったように、通常、一定の間隔で行われますが、多くの企業では、より速い時間枠での運転が求められています。
例えば、クレジットカード会社では、膨大な量のデータをほぼリアルタイムで分析し、不正利用者の可能性がある不審な行動を特定する必要があります。また、製造業では、異常なセンサーデータが部品の故障や過熱を示すことがあり、リアルタイムでのデータ統合が必要とされる例もあります。このように、アルタイムデータ統合は、さまざまなユースケースにおける、企業の正確かつタイムリーな意思決定の実施をサポートします。
6. クラウドベンダーのロックインを回避
クラウドコンピューティングを利用したいと考える企業にとっての朗報は、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Oracle、Google Cloud Platformなど、パブリッククラウドプロバイダーが市場に溢れている点です。このようなクラウドベンダーではそれぞれ、データストレージからBIや分析まで、大小さまざまな組織のニーズに対応する幅広いサービスが提供されています。
ただ、注意しないと、例えば、パブリッククラウドプロバイダーの多くは、データウェアハウスからデータを移行する際に、最初にデータを取り込む場合よりも高い料金を請求するといったように、プロバイダーが契約を終了するよりもサービスの使用を開始する方がはるかに簡単になる、クラウドベンダーロックインの問題に簡単に悩まされることになります。
データ統合を巧みに利用することで、ベンダーロックインによる問題の多くを回避することができます。例えば、Amazon RedshiftとGoogle BigQueryのような2つの異なるクラウド環境やデータウェアハウスに同じデータを保存し、異なるBIや分析ワークロードに使用することができます。そして後にどちらかのプロバイダーの使用量を増やしたり減らしたりしたい場合でも、複雑なデータ移行のストレスを感じることなく、簡単に行うことができます。
7. データ複製とバックアップ
「データ統合」という用語は、ファイルを取り込んで一元化された場所に移動するあらゆるプロセスに使用されます。データウェアハウスなどのBIに特化したレポジトリが最も一般的な移動先ですが、必ずしもそれだけである必要はありません
実際、データ統合ツールは、データの複製、つまりある場所にあるファイルやデータを複製し、そのまま別の場所に移動させるために使用することもできます。要するに、これはETLパイプラインの縮小版とみなすことができ、ほとんどの作業は抽出と格納の段階で行われ、変換はほとんど行われません。
データの複製を定期的に実行することで、必要不可欠な情報のバックアップを確実に維持することができ、例えば異なるコンピューターやサーバーなど、別々の場所にあるファイルが、IT環境全体で一貫しているか、同一であるかの確認のためにも実行されます。
Integrate.io が企業経営者のデータ統合をサポートする方法
ここまで、経営者にとってのデータ統合の多くの利点と使用例についてお話してきました。あとは、この仕事に適したデータ統合ツールは何なのか、という疑問だけです。
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Integrate.io のデータ統合ソフトウェアにより、ビジネスオーナーは、より良い情報に基づいた意思決定をかつてないほどシンプルにできるようになりました。Integrate.io のデータ統合ソリューションには、ETL ワークフローを可能な限り迅速かつ効率的にするための便利な機能が多数含まれています。
例えば、Integrate.io の FlyData CDC (変更データ取得) 機能は、次に実行するデータ統合ジョブがデータベース全体ではなく、変更または新しいデータのみを確実に取得できます。Integrate.io はリバース ETL もサポートしており、それによりデータを一元化された場所からサードパーティシステムに移動して、アクセスや分析がしやすくなります。
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