刻々と変化するビジネス環境の中で、企業はビジネスのユースケースを定めるよりも、データへ依存するようになっています。データへの依存度が高まる中、企業は「データモデリング」と「データアーキテクチャ」という2つの概念を意識することが非常に重要であり、最終的に、データモデリングとデータアーキテクチャをビジネス運営に導入することで、企業はよりデータ駆動的なオペレーションとより強固なデータインフラを構築するすることができるようになるため、それは価値ある投資となるでしょう。
データモデリングとデータアーキテクチャは、可能な限り最善の方法で企業データを活用しようと努力する際に理解すべき非常に重要な要素ですが、最初のうちは大変かもしれません。データ モデリングとデータ アーキテクチャがうまくいくには、データ仮想化に最適なツールを活用することが不可欠であり、使うツールによって、データ関連のプロジェクトの成否が決まります。
そこで本記事では、データモデリングとデータアーキテクチャ、それぞれの違い、そしてこれらのコンセプトがデータ管理や活用にどのように役立つのかについて、詳しく見ていきましょう。
データモデリングとは
企業がよりデータ主導の経営を目指す際に、多くの場合はデータのクリーニングとモデリングが最初のステップになります。データモデリングでは、データを最終的にどのように使うかよりも、データの選択と整理に重点が置かれます。
データは賢明なビジネス意思決定の鍵であり、データモデルはそのデータへの鍵なのです。
データ モデルを使うと、組織はデータ資産を理解して分析し、伝達できるようになり、ルール、言語、デフォルト値などに一貫性を持たせることができます。これは唯一の「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」として機能し、それでルール、言語、デフォルト値などの一貫性を確保することができます。
データモデルが含むことができるものの例としては以下が挙げられます:
- エンティティの種類
- 属性
- 命名規則
- 関係
- ルール
データモデリングで、リレーショナルテーブルやプロシージャを作成し、ベースとなるデータを明確に把握することができます。また、スマートで構造化されたデータモデルで、データギャップや冗長なデータポイントを特定することができます。
関連記事:2024年に ETL データモデリングが求められる理由
データモデリングの3つのレベル
データモデルの構築は以下の3つのレベルで行われ、すべてが互いの上に成り立っています。
概念レベル
概念データモデルは、システム内にどのようなデータがあるべきかに焦点が当てられています。このモデルの作成にはデータアーキテクトが関与することが多いですが、関連するビジネスのステークホルダーからのインプットが基本となります。また、概念データモデルは、ビジネスの概念とルールを整理して確定することを目的としています。
論理レベル
論理データモデルは、最終的にどのような DBMS(データベース管理システム)を使うかにかかわらず、システムをどのように実装するかを定めます。このモデルは多くの場合、データアーキテクトがビジネスアナリストや関連するビジネスのステークホルダーと密接に協力して作成されます。論理レベルは、すべてのルールとデータ構造の技術的なマップを作成するところです。
物理レベル
どのようなデータがシステム内にあるべきか、そしてそのデータがどのように扱われるべきかが明確になったら、次は物理データモデルです。これは、特定のデータベース管理システムでどのようにシステムが実装されるかが記述されたモデルであり、多くの場合、ここでデータベースアナリストやデベロッパーがこのプロセスに参加して実装を推進します。
データモデルの作成は時間がかかるように見えるかもしれませんが、これは十分に価値のある時間です。今後、データベースや IT インフラのアップグレードやメンテナンスが、もっと早く簡単に安くできるようになりますからね。
データアーキテクチャとは
データモデリングではデータの表現に重点が置かれるのに対し、データアーキテクチャではデータの保存と分析にどのようなツールやプラットフォームを使うかに重点が置かれます。そしてデータアーキテクトとは、組織構造とビジネス目標に基づいて、エコシステムを構築するための技術スタックを選択して実装する人のことをいいます。
クラウドに移行すべきか?どのようなセキュリティ上の懸念に対処する必要があるのか?どのようなツールやプラットフォームが必要なのか?などは、データアーキテクチャの問題です。
適切なデータアーキテクチャがなければ、新しいツールや技術ソリューションを場当たり的に追加していくうちに、事態はどんどん訳がわからなくなっていきます。そして明確な構造がないままこれを放置しておくと、生産性とコントロールが失われるだけでなく、通常は高いコストがかかることになります。
データアーキテクチャに関係する例として以下が挙げられます:
- クラウドストレージ
- ハードウェア仮想化
- ホスティング
- 暗号化
- インフラストラクチャ
- データ処理
データアーキテクチャは、エンタープライズアーキテクチャ全体の不可欠な部分を形成し、組織全体の構造と運用を定めます。データアーキテクトの使命は、ステークホルダーがビジネスに不可欠なデータに(元のデータの出所に関係なく)アクセスできるようにし、独自の視点からデータを簡単に使って理解できるようにすることです。
関連記事(英語):The Ultimate Guide to Data Architecture(データアーキテクチャの究極ガイド)
データモデリング と データアーキテクチャ: 主な違い
データモデリングとデータアーキテクチャには共通点がいくつかありますが、重要な相違点もあります。以下に、データモデリングとデータアーキテクチャの主な違いを5つ挙げてみましょう。
- データモデリングではデータの表現に焦点が当てられ、データアーキテクチャはデータの保存と分析にどのようなツールやプラットフォームを使うかに関係する。
- データモデリングはデータの正確さに関するものであり、データアーキテクチャはそのデータを収容するインフラに関するものである。
- データモデリングはデータの信頼性に関係し、データアーキテクチャはデータを安全に保つことに関係する。
- データモデルは現実を表現しようとするものであり、データアーキテクチャはシステムとロジスティクスの枠組みである。
- データ モデルは、限られた一連のビジネス概念と、それらの相互関係を表し、データアーキテクチャは、組織全体のデータインフラをカバーする。
さらに、両者の概念間には以下のような違いがあります。
- エンティティとルール vs ソリューションとツール
データモデリングはデータエンティティ間の関係を扱うものであり、データエンティティ間の関係のルールを作成して、そのルールに基づいてリンクやアウトプットを作成します。
一方、データアーキテクチャでは、データベース全体と、データの保存、処理、分析に必要なツールとソリューションを検討し、それにはハードウェアや管理も含まれます。
- ビジネスコンセプト vs インフラ
データモデルは、ビジネスの概念とそれらが互いにどのように関連しているかをできるだけ正確に表現することを目的としています。それがモデルであり、現実を表現しようとするものなのです。
対するデータアーキテクチャは、データモデルが存在する組織全体のデータインフラストラクチャに関係します。システムおよびロジスティクスの包括的なフレームワークであり、データモデルが非常に重要な構成要素となっています。
- 信頼性と安全性
データモデリングは、データの正確さがすべてです。どのデータ ポイントを使うか。データがクリーンで最新であり、正確に表現されていることをどのように確認すればいいか。家を例にすると、データモデラーは家の住人、つまりデータ ポイントに関係し、データポイントにどのような名前を付けるか、データ ポイントがデータポイントの正体をどのように確認するか、データ ポイント同士がどのようにやり取りするかなどに関わります。
対するデータアーキテクチャとは、家そのものを構築することであり、データをいかに安全に保管するかに重点が置かれています。どのように保存するか、どの部分を暗号化する必要があるのか、誰がどのシステムにアクセスできるのか、どのようなパスワードやセキュリティシステムが必要なのか、などがデータアーキテクトの重点分野となります。
ビジネスユースケースの確定
よくある間違いとして、データモデリングをデータサイエンティストに頼りすぎるというのがあり、そうすることで、モデルを構築する人が、そのモデルを実際に使うビジネスの現実を十分に把握していない可能性があるというリスクが生じます。なのでモデルの構築を始める前に、モデルのビジネスユースケースを確定することが極めて重要です。
例えば、顧客サービスチームがチャーンを減らすために奮闘しており、データに基づいたインサイトが必要だとします。その場合、顧客がいつ解約しそうかを示すモデルと、その解約の理由を示すモデルは異なります。なのでどのようなモデルが必要かを知るには、まずユースケースを定めることから始めないといけません。
関連記事(英語):Data Engineering: What is a Data Engineer and How Do I Become One?(データエンジニアリング データエンジニアとは何か、どうすればなれるのか?)
劣悪なデータモデリングはデータアーキテクチャに影響する
データモデルの設計が不十分だと、分析に重大な失敗を引き起こし、ビジネスに損害を与える可能性があります。正しいデータを見つけることができず、今あるデータが自社にとってどのような意味であるかを知ることもできません。十分に機能するデータモデルがなければ、事実ではなく、直感や推測といったものに基づいて意思決定を行う危険性があり、アナリティクスやリサーチのための有料ツールの恩恵を受けることもできません。
企業内ではさまざまなプログラムやシステムが変化する可能性がありますが、データは非常に安定したパラメーターです。なので、最初から時間をかけて正しい状態にするというのは、それをするだけの価値があります。
まとめ
データモデリングとは、企業のデータをモデルという形で表現することであり、それには、ビジネスコンセプト、その相互関係、ルール、デフォルト値、命名規則が含まれます。
一方、データアーキテクチャとは、データとデータモデルが存在する全体的なインフラのことであり、データアーキテクトは、ツール、プラットフォーム、ソリューションといったデータのための環境を構築することによって、データを安全に保管しつつ、簡単にアクセスできるようにすることに重点を置いています。
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