ビジネス環境が絶えず変化し、より多くのテクノロジーが統合される中、今後ますます重要になるのが、「ETLパイプライン」 と 「データパイプライン」 の2つの概念です。 ETLパイプライン と データパイプラインは、システム間でデータを移動させる上で重要な役割を担っており、日々の機能においてデータへの依存が高まる企業にとって、このパイプラインがどのように機能してどのような違いがあるのかを理解することは、非常に重要です。
例えば、SNS上のコメントを挙げてみましょう。ソーシャルリスニングのツールで拾われ、感情分析アプリに登録されるかもしれません。同時に、ソーシャルメッセージのリアルタイムレポートに含まれたり、適切なサポートエージェントが対応できるように地理的にマッピングされるかもしれません。つまり、同じソースからの同じデータが、複数のデータパイプライン、時には ETL パイプラインの一部となるということです。
そこで本記事では、データパイプライン、ETLパイプライン、その共通点と相違点、そして日常業務で果たす重要な役割について、詳しく見ていきます。
データパイプラインとは
「データパイプライン」という用語は、データをあるシステムから別のシステムに移動させ、時にはデータを変換し、時には変換しない、一連のプロセスを表すことができますが、基本的には、データが移動する一連のステップを指します。また、このプロセスには、データの複製、フィルタリング、クラウドへの移行、データエンリッチメントプロセスなどの対策が含まれることがあります。
データパイプラインのユースケース例
- 予測分析を行う
- リアルタイムのレポートおよびメトリック更新を可能にする
- データを移動、処理、保存する
データパイプラインの種類
パイプラインは4つのカテゴリーに分類されます。このカテゴリーは相互に排他的ではありません。つまり、データパイプラインには複数のカテゴリーの特徴があり得るということです。
1.バッチ
バッチ処理パイプラインは、大量のデータを一定間隔で移動させるのに使われ、この種のジョブは一定間隔で実行されます。
2.リアルタイム
リアルタイムパイプラインは、データがソースで生成されるとすぐにデータを移動させます。
3.クラウドネイティブ
クラウドネイティブのパイプラインは、クラウドベースのデータソースに最適化されており、社内ではなく、サードパーティベンダーのクラウドに格納されます。クラウドネイティブソリューションの使用により、インフラストラクチャのコストの節約になり、デベロッパーはより価値の高いタスクに集中することができるようになります。
4.オープンソース
商用パイプラインツールの低コストでの代替を必要とする企業は、オープンソースのパイプラインツールでメリットを得られるでしょう。ただ、このアプローチには、特定のユースケースのためにツールを開発または拡張する専門知識を持った人が必要になるという欠点があります。
データパイプラインの構成要素
データパイプラインには、データの移動を促進するために、それぞれ特定の目的を持った以下のようなコンポーネントが含まれています:
- オリジン(出発点):元のデータが存在するソースを表す。
- デスティネーション(目的地):データが転送される最終地点であり、データストア、API エンドポイント、分析ツールなどがある。
- データフロー:オリジンとデスティネーションの間でデータを移動させることを指し、ETL(抽出、変換、格納)が、データ移動の方法として最も広く使われている。
- ストレージ:ストレージシステムとは、データの流れの段階を通してデータを保存するために使用される全システムのことを指す。
- 処理:処理には、データの移動に関わる活動がすべて含まれる。
- ワークフロー:パイプラインを通じてデータを移動させる際の一連のプロセスを、その依存関係とともに表したもの。
- モニタリング:パイプラインの全ステージが正しく動作していることを確認する。
関連記事:Build a Data Pipeline with Heroku ETL & Hadoop(Heroku ETLとHadoopでデータパイプラインを構築する)
ETL パイプラインとは
ETLとは、「Extract(抽出)」、「Transform(変換)」、「Load(格納)」の頭文字をとったものであり、ETLパイプラインとは、ソースからデータを抽出して変換し、最後にデスティネーションに格納する一連のプロセスです。ソースは、例えば業務システム、API、マーケティングツール、トランザクションデータベースなどで、デスティネーションはデータベース、データウェアハウス、Amazon RedShift、Google BigQuery、Snowflake などのプロバイダーによるクラウドホスティングデータベースなどがあります。
ETL パイプラインのユースケース例
- 企業のデータを一元管理し、すべてのデータソースからデータベースやデータウェアハウスに取り込む
- 異なるデータストア間で、内部的にデータを移動して変換する
- CRM システムを追加データで強化する
関連記事:Python における ETL パイプラインの構築
データパイプラインと ETL パイプライン:3つの主な違い
「データパイプライン」と「ETL パイプライン」は関連する用語で、よく同じ意味で使われます。ただ、どちらも「データをあるシステムから別のシステムへ移動させるプロセス」を意味する言葉ですが、完全に同じものではありません。以下のように、主に3つの違いがあります:
1.データパイプラインは、ETLパイプライン を含む包括的な用語である。
ETLパイプラインは、データをデータベースやデータウェアハウスに格納することで終了しますが、データパイプラインは、必ずしも格納で終わるとは限らず、格納が他のシステムの Webフックをトリガーして、新しいプロセスやフローを起動するこ場合があります。
2.ETL パイプラインは常に変換を伴う。
ETL は、その略語が示すように、ソースからデータを抽出して変換し、出力先に格納する一連のプロセスです。対するデータパイプラインは、異なるシステム間でデータを移動させますが、必ずしもデータを変換する必要はありません。
3.ETLパイプライン はバッチで実行され、データパイプライン はリアルタイムで実行される。
もう一つの違いは、ETL パイプラインは通常、データが定期的なスケジュールで塊で動かされるバッチで実行され、それが1日2回、あるいは一般的なシステムのトラフィックが少ない時間帯に設定されている可能性があります。対するデータパイプラインは、ストリーミング計算を行うリアルタイムプロセスとして実行されることがよくあります。つまり、データが継続的に更新されるということです。
ETL パイプラインを使う理由
ETL パイプラインは、データの抽出、変換、格納を行う必要がある場合に有効であり、より深い分析やBI(ビジネスインテリジェンス)の実現に必要な場合が多いです。データがある場所から別の場所に移動し、その過程で変更が必要な場合はいつでも、ETLパイプラインがその役割を果たします。また、例えば、新しいシステムがレガシーアプリケーションを置き換える場合など、データの移行にも有用です。
ETLパイプラインの抽出部分では、CSV、Webサービス、SNS プラットフォーム、CRM、その他のビジネスシステムなど、さまざまなシステムからデータを調達して抽出します。変換プロセスでは、データを報告しやすい形式に変換し、データクレンジングもこのステップの一部であることがあります。格納プロセスでは、全ステークホルダーが簡単にアクセスできるようにするために、変換されたデータを集中型ハブに格納します。
ETL パイプラインは、適切なデータを見つけてレポートに使えるようにし、それを簡単にアクセス・分析できる場所に保存することを目的としています。ETLツールによって、デベロッパーは技術的な実装手段を開発する代わりに、ロジックやルールに焦点を当てることができるようになります。それによって、開発チームは分析用のツールを開発するよりも、ビジネスを前進させる仕事に集中することができ、多くの時間が節約できます。
関連記事: リアルタイムETL:バッチETLからストリーミングパイプラインへの進化
Integrate.io がお手伝いできること
ETL と データパイプラインは、どちらも企業がデータを扱う方法を変革するものですが、同じ機能やサービスを企業に提供するものではありません。ETL パイプラインを使う場合、データの「抽出、変換、格納」という一連のプロセスが行われるということであり、対するデータパイプラインの場合、データはあるシステムから別のシステムへ転送されますが、その過程で必ずしも変換されるわけではありません。つまり、両者はインタラクティブに使用されることがありますが、単純に同じというわけではないのです。
「データパイプライン」 と「 ETLパイプライン」 は違うものですが、どちらも分析やデータ管理の実践を上げることで、企業に多くのメリットをもたらします。ETL とデータパイプラインが提供するメリットを享受する方法をお探しでしたら、Integrat.io を超えるものはないでしょう。Integrat.ioは、より効率的にデータを抽出、変換、格納するためのツールを提供する、主要なクラウドベースのETLソリューションですからね。
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