顧客体験(CX)は、あらゆる組織にとって最も重要な課題の一つですが、同時に、企業にとって具体的な改善の実行が最も大変なことの一つでもあります。企業はCXをよりよく理解することで、カスタマージャーニーを最適化するための明確で実行可能なロードマップを定めることができ、その結果、従業員の生産性の向上、コストの削減、利益の増加といった成果を得ることができるのです。

カスタマーサクセスにデータ駆動型のアプローチを採用することは、一流のUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供するためのいちばんいい方法の一つですが、多くの情報がITエコシステムに散在する中、これを言うのは簡単でも、実現は大変です。企業には、より簡単なアクセスおよび分析のために、企業全体でのデータ統合や、情報をひとつ屋根の下に集めるための強固で信頼性の高い方法が必要なのです。

このような情報がすべて手元に揃えば、経験豊富な顧客中心主義の企業は、それを使って隠れたトレンドや実用的なインサイトを見つけ出し、より賢明な意思決定を行うことができます。本記事では、Integrate.io の最近の一顧客である Elevate.inc様が、ビッグデータを使ってどのようにCXを理解し、改善したかをご紹介します。

Elevate.incがデータ統合を利用してCX(顧客体験)を上げた方法

この事例のクライアントであるElevate.inc様は、人事に関する革新的なSaaS(Software as a Service)プラットフォームを提供し、企業の福利厚生管理のお手伝いをしています。150社を超える企業の数千人の従業員が、Elevate社のソフトウェアを使って、請求を即座に処理し、リアルタイムの払い戻しを受けており、雇用主もこのプラットフォームを利用することで、よりスマートな人事の意思決定や、さまざまなチームの福利厚生管理をすることができます。

新入社員が入ると、雇用主はその社員の人事情報を特定のファイル形式でElevate社のソフトウェアと共有します。そしてElevate社はこのデータを元に、必要なプロファイルやアカウントを作成するためのワークフローを構築します。

当初、Elevate社ではこの情報をユーザー独自の定型フォーマットで提供するよう求めていましたが、事業が拡大するにつれて、そのようなわけにはいかなくなりました。さまざまな組織でこのソフトウェアが使われるようになったため、入力データの形式も多様化し、データ統合が大変になったのです。

問題点:様々なデータフォーマット

Workday や ADP などの人事管理ソフトウェアは、あらゆる規模や業種の企業で高い人気を誇っており、企業は通常、どちらか一方を使うでしょう(両方の使用はない)。ADP と Workday は、雇用者の福利厚生データを API (アプリケーション・プログラミング・インターフェース) で利用できるようになっており、Integrate.io などの ETL ツールでは、一般的な REST API のソースコネクタを使って、この情報を抽出して使うことができます。

WorkdayやADPは広く普及されているため、Elevate社の新規顧客の多くは、このようなサードパーティ製ファイル形式で従業員情報を保存しています。しかし、Elevate社では、ソフトウェアの使用を始める際に、そのデータの変換を求めたいとは考えていませんでした。このデータ変換を求めると、それがユーザーにとって負担となり、顧客の期待を裏切り、一部の顧客にとって脅威となる可能性があると考えたのです。

そのため、Elevate社には、プラットフォーム内での使用のために、データをソフトウェア独自のファイル形式に変換する方法が必要でしたが、その顧客データを手作業で変換することは現実的ではありませんでした。手作業での変換には、専門のチームが週に数時間、ファイルを処理する必要があり、(誤ってアカウントを作成したり、払い戻しをしたりするなどの)ミスが発生する余地が大きすぎたのです。

解決策:強固なETL機能

このような問題から、Elevate社は強固なデータ変換機能を備えた信頼性の高いETL(抽出、変換、格納)ツールの必要性を感じていました。それがあれば、顧客は新入社員のシステムへの追加や、請求や払い戻しの処理を自動ですることができるようになります。

そこでElevate社は、顧客がAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)を使って簡単に社員情報を共有できるような解決策を想像しました。ちなみにAmazon S3は、Amazon Web Services(Amazon AWS)が提供するサービスで、Webサービスのインターフェースを通じてオブジェクトストレージを提供します。

Elevate社のビジョンでは、ユーザーは従業員データのファイルを自分のFTP(ファイル転送プロトコル)のサイトに格納することになります。Amazon S3はFTPと簡単に統合できるため、これらのファイルをすぐにElevate社のシステムで利用できる ようになり、そして最後に、Elevate社のソフトウェアがAmazon S3からそのファイルをピックアップし、プラットフォームに格納します。

Integrate.io ETLを使ったAmazon S3への接続がいかに簡単であるか、ぜひこちらからご覧ください。

Integrateである理由

Elevate社は、主に以下の3つの品質を備えたETLツールを探していました:

  • Amazon S3、ADP、Workdayへの使いやすいデータコネクタ
  • 幅広い柔軟なデータ変換機能
  • ローコードまたはノーコードのインターフェースにより、非技術系ユーザーにも対応

S3、Workday、ADPとの接続がすぐにできるツールでも、データ変換に必要な機能がよく欠けていましたし、技術的なニーズに対応するために高い柔軟性を備えたツールもありましたが、特にネイティブではないAPIに接続する場合は、ノーコードでもローコードでもありませんでした。

多くの ETL プラットフォームを徹底的に評価した結果、Integrate.ioを試すまでは、Elevate社 はそのような要件すべてを満たすことは難しいと思っていましたが、 それを試したところ、彼らにとってIntegrate.io の ETL ツールは、使いやすさと強力な機能性の中間を提供する、競合他社の中でも一番「かゆいところに手が届く」ものでした。Integrate.io のドラッグ&ドロップやローコード、ノーコードのユーザーインターフェースにより、あらゆる経歴やスキルレベルのユーザーがデータ変換やパイプラインを定めることができるのです。

さらに、ETL プラットフォームは、ELT と CDCデータウェアハウス分析API 生成のためのツールとともに、Integrate.io にあるメリットの ほんの1 つに過ぎず、Elevate社 は、Integrate.io が真のデータプラットフォームであり、技術的なロードマップが進化してもなお多くのものを提供できると確信できました。Integrate.io は、新しいデータ製品やカスタムダッシュボードの構築から、複数のシステム間でのデータ共有や同期まで、幅広いユースケースで Elevate社をサポートすることができます。

結果:より強力なCX

Integrate.ioのサポートにより、今やElevate社は、より幅広いフォーマットから顧客データを取り込むことができるようになり、顧客はElevate社のソフトウェアを使って、ADPやWorkdayなどの人事管理プラットフォームが生成するデータを、給与、税金、福利厚生、従業員体験などのユースケースで分析することができます。

Elevate社は、Integate.ioのETL機能を以下のようにフル活用しています:

  1. ADP や Workday などのソースから、それぞれの API と Integrate.io の一般的な REST API コネクタを経由してデータを抽出する
  2. データを変換し、データセットを結合して、【分析】、【ダッシュボード】、【レポート】作成の準備をする。
  3. データをデータウェアハウス格納し、プラットフォームに組み込まれたBI(ビジネスインテリジェンス)や可視化ツールが直接データを読み込めるようにする。

Integrate.ioのおかげで、Elevate社は以下の重要な目的2つを達成することができました:

  • CXの改善:ユーザーは、希望するファイル形式で手間なく情報をアップロードできるようになりました。Evelate社では、顧客がデータに基づいたよりスマートな人事決定を行うのに使える、プラットフォーム内の新しい人事ダッシュボード機能を導入する予定です。
  • 顧客オンボーディングの迅速化:ユーザーのファイル内のデータは、自動的に変換されることから、顧客がファイルをアップロードすると同時に、新しい従業員はElevate社のソフトウェアに追加されます。

CX(顧客体験)とは

Elevate社は、データ統合をうまく利用し、データ資産を活用してCX(顧客体験)に関するよりスマートなデータ主導の意思決定を行っている企業の一例です。では、Elevate社に続く企業は、CXについて何を知っておくべきでしょうか。

CXとは、顧客との関係全体を通じて、顧客があなたのブランドやビジネスに対して抱く印象のことです。顧客との接点として最もわかりやすいのは、コンタクトセンターなどのカスタマーサポートでしょうが、それは最初から最後まで優れたCXを構築するための1つの要素に過ぎません。

本当に優れたCXを提供するには、企業は以下を含めたオムニチャネルアプローチの採用が必要です:

  • 製品の購入および使用経験。
  • 返金、返品、問題、質問などのカスタマーサポートのエージェントとのやりとり
  • ウェブサイト、電子メール、チャットボット、SNSなどのデジタルチャネル
  • FAQ、ヘルプフォーラム、ナレッジベースなどのセルフサービスポータル
  • 対面販売、実店舗での販売
  • マーケティングや広告キャンペーン、営業担当者からの電話など
  • 顧客間のクチコミ
  • 世間一般の認識とメディア報道

CX改善のメリットは以下の通りです:

  • 顧客とのより深いつながり:顧客をよく理解している企業は、顧客とのつながりを築くにはどうするのが一番いいかもわかっており、それには、ダイナミックかつ巧妙な方法で顧客とつながり、ブランドへの関心を維持させることが必要。
  • 顧客維持率の向上:顧客と接するたびに、より良い体験を提供することに重点を置くことで、顧客は新規顧客から忠実なファンへと長期にわたって定着する可能性が高くなる。
  • コスト削減:マーケティング・キャンペーンの費用を削減して口コミへの依存度を高めることから製品の払い戻しの回数減少まで、より良いCXで、さまざまな形でのビジネスのコストの削減が実現する。
  • ブランド価値の強化:CXは、企業のブランド価値と高い相関関係があり、製品に関するポジティブな体験が多ければ多いほど、ユーザーはよりポジティブにブランドを評価し、友人や家族に宣伝してくれるようになる。

CXを理解する方法

企業がCXを把握するには、さまざまなアプローチや取り組みがあります。ここでは、企業が顧客の動向を把握するための4つの方法についてお話します。

1. CXのランキング

CXは、顧客一人ひとりの主観的・定性的な「感覚」ですが、多数のユーザーに対して客観的・定量的に算出する方法があります。例えば、Forrester社などの市場調査会社は、一流の顧客体験を提供する能力に基づいて企業を数値的に比較するCXインデックスを提供しており、このメトリクスには、以下のような要素が盛り込まれています:

  • 顧客のニーズを満たすブランドの有効性
  • 顧客のそのブランドに対する利用しやすさ
  • 顧客がそのブランドと接するときに抱く感情

2. KPI(主要業績評価指標)とメトリクス

企業は、CXの質を評価するために、特定のメトリクスやKPI(主要業績評価指標)を選択することがあります。おそらく究極のCXのメトリクスはNPS(ネットプロモータースコア:顧客が友人や家族、同僚に企業を推薦する可能性を0~10の数値で評価するもの)であり、顧客ロイヤルティと顧客満足度の評価に使われます。

他にも様々なCXのメトリクスやKPIがあり、それぞれがビジネスの特定の側面を切り出すことを目的としています。例えば、CLV(顧客生涯価値)は、特定の顧客が組織との関係の存続期間中にどれだけのお金を「もたらす」かを推定し、チャーン率(ビジネスを中断したユーザーの割合)は、顧客の不満が高まっていることを検知することができます。

3. CRM(顧客関係管理)ソフトウェア

CRM(顧客関係管理)ソフトウェアは、企業が顧客とやり取りした履歴を記録するための貴重なツールであり、組織内のさまざまなチームや部署がCRMプラットフォームを活用することで、個々の顧客に1対1の個別化されたサービスを提供することができます。

Salesforce、Oracle、Microsoft Dynamics 365 などのエンタープライズ級の CRM プロバイダーは、自動コンタクト管理やリードスコアリングからきれいなデータの可視化、レポート、ダッシュボードまで、豊富な機能と特徴を提供しています。顧客データを一元管理されたアクセス可能なCRMに保存することで、企業はこの情報をさまざまな角度から切り出し、BI(ビジネスインテリジェンス)と分析に活用することができるのです。

4. 顧客セグメンテーション

何千人ものユーザーを抱える企業にとって、個々の顧客の意見や動機を把握するのは無理な話です。その代わり、特定の特徴に基づいて顧客を異なるグループにセグメント化することが非常に有用な戦術であり、セグメンテーションの方法としては、以下のようなものが考えられます:

  • 人口動態(年齢、収入、教育水準など)
  • 地理的情報(地域、州、国など)
  • 心理的属性(意見、信念、態度、興味、など)
  • 行動(ウェブサイトへの訪問、SNS交流、購入など)

顧客をセグメント化することで、営業からカスタマーサポートまで、より個別化された体験を提供することができます。例えば、顧客ストーリーやバイヤーペルソナ(典型的な顧客の架空の表現)を構築することで、より効果的なターゲットマーケティングキャンペーンを実施することができます。

CXについてIntegrate.ioができること

この記事でご紹介した Elevate社の事例は、適切なデータ統合プラットフォームが、DX(デジタル変革)を通じて企業のCXの強化をサポートする一例に過ぎませんが、最適なツールを選択することで、企業は自社と顧客の技術的負担を軽減し、ビジネスプロセスを効率化することができます。

Integrate.io は、EC企業のニーズに合わせてデザインされた、パワフルで機能豊富なクラウドベースの ETL およびデータ統合プラットフォームです。Integrate.ioには、コード不要のドラッグ&ドロップ式のビジュアルインターフェイスがあり、それによって技術ユーザーとビジネスユーザーの両方が、本番環境に適したデータパイプラインの構築を開始できるようになります。 その上、学習曲線をできるだけシンプルにするために、最も広く使用されているデータソースのための 140 以上のビルド済みコネクタと統合、および任意の一般的なREST API からデータを抽出するためのユニバーサルコネクタを提供します。

さらに、Integrate.ioは、ユーザーがデータサイロを解消し、データ統合を最大限に活用できるようにするための貴重な機能を豊富に提供しています。Integrate.ioには、FlyDataのCDC(変更データ取得)ツールが含まれており、直近の統合作業以降にデータソース内で変更されたレコードやテーブルを検出します。FlyDataのCDC を使うことで、企業のデータ統合に費やす時間と労力が劇的に軽減されます。また、リバースETLをサポートしており、集中管理されたデータウェアハウスからサードパーティのアプリケーションにデータをプッシュして簡単にアクセスできるようにすることも可能です。

Integrate.io がどのようにデータ統合の力でCXを上げることができるかをご覧になりませんか?お客様のビジネス目標や要件について、データ統合の専門家チームにご相談いただくか、 Integrate.io ETL プラットフォームの 14 日間のトライアルをぜひ今すぐ始めましょう!