あらゆる規模や業種の組織が、人間には理解できないほど膨大な量のデータにアクセスできるようになりました。2023年の時点で、世界では1日あたり3億2,877万テラバイトという、ほとんど想像を絶する数のデータが生み出され、消費されていますが、このような情報を効率的に処理して分析し、ノイズの中に隠された貴重なデータ主導のインサイトを明らかにする方法がなければ、その情報は何の役にも立ちません。
本記事の主なポイントは次のとおりです:
- ETL は、ソースからデータを抽出し、それを分析に適した形式に変換し、データウェアハウスのような一元化された場所にデータを格納するデータ統合手法である。
- 手作業で ETL を行うには、データエンジニアによる複雑なデータパイプラインの構築が必要。
- ただし、ETL ツールがこのプロセスを効率化してくれることから、企業は、データ抽出、スキーマ、取り込み、API、その他の複雑な要素の心配をすることなく、さまざまなロケーション間でのデータ移動ができるようになる。
- ETL ツールがどれも同じというわけではない。そこで本記事では、特徴、機能、ユーザーレビューのスコアに基づいて、オススメの製品を紹介されている。
ビッグデータの日常業務を管理し、複数の部門にまたがるチームのためにより良いインサイトを得るために、主要なデータ統合ツールを検討しましょう。技術的な知識や能力が高い人向けのオプションもあれば、コード不要のシンプルなソリューションを求める人向けのオプションもありますが、ETL は、より優れたセキュリティと機能を備えた、より簡単なデータ移動方法です。
ETL とは
ETL とは、Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)のの頭文字をとったもので、データウェアハウスの世界では不可欠なデータ統合プロセスであり、これには、多様なソースからのデータ収集や、一元化されたデータベースへの統合が含まれます。
ETL プロセスは、以下の3つの重要な段階から構成されます:
- 抽出:元のソースからデータを抽出する。
- 変換:抽出されたデータは、正確性と一貫性が確保すべく、重複排除、結合、品質チェックなどで変換される。
- 格納:変換されたデータは、データウェアハウスなどのターゲットデータベースに格納される。
かつて ETL プロセスは、手間のかかる手作業によるパイプライン構築と複雑なコーディングが必要であり、実装には数週間から数ヶ月かかっていましたが、ETL ツールの登場によってそのプロセスが自動化され、あらゆる規模の組織が、データエンジニアリングの専門知識がなくても、効率的にデータを拠点間で移動できるようになりました。
ETL ツールを導入することで、データ管理の効率化、データ分析の強化、意思決定能力の向上などのメリットが得られます。また、ETL ツールを活用することで、企業はデータパイプラインの最適化やデータフローの追跡ができるようになり、より速やかなインサイトを得られやすくなります。
では、いい ETL ツールの特徴と、要件に合ったツールの見つけ方を見てみましょう。
ETL ツールとは
ETL ツールは、複数のソースからデータを抽出して適切なフォーマットに変換し、その処理されたデータを目的地に格納することをしやすくするソフトウェアアプリケーションであり、ETL プロセスによって、企業は様々なソースからのデータを早く正確に集約して、分析やレポーティングを行うことができます。
いい ETL ツールとは
ETL ツールを選ぶ際には、そのツールが確実に複雑なデータ要件に対応できるものであるようにしたいところです。いい ETL ツールというのは、大量のデータを最小限の労力で早く効率的に移動や変換ができるものであるべきです。また、さまざまなシステムからのデータセットを一元化されたレポジトリに簡単に統合できるように、複数のデータソースに対応しているものでもあるべきです。さらに、データの操作、セッティングの設定、タスクのスケジューリングをサッと行うのに、直感的なユーザーインターフェースも鍵となります。あと、ETL ツールは、シームレスなワークフローのために、技術スタックの他のツールと統合できるものであるべきです。
ツールにもよりますが、上記のプロセスのほとんどは完全に効率化されています。事前構築済みのデータコネクタが、ほとんど、あるいはまったくコードを記述することなく、データを抽出および変換して、ターゲットシステムに格納することから、複雑なデータ抽出、取り込み、API の管理、その他の作業が不要になります。
適切な ETL ツールを使うことで、企業は精度や拡張性を犠牲にすることなく、分析プロセスを加速させることができます。ETL は、データ駆動型企業にとって非常に重要な要素であり、適切なツールを使うことで、大きな違いが生み出されるのです。
関連記事(英語):ROI of No-Code Platforms(コード不要プラットフォームの ROI)
ETL ツールの種類
ETL ツールに関しては、様々なニーズに合わせて選択肢が色々ありますが、ここでは、一般的な ETL ツールの種類を見ていきます:
オープンソース ETL ツール
オープンソースのソリューションは、データ統合のための柔軟でカスタマイズ可能なオプションを提供します。この種のツールには幅広い機能があり、費用対効果の高いソリューションを求める技術に詳しいチームよく好まれます。
クラウドベースのETLツール
クラウドベースの ETL ツールは、クラウドコンピューティングのパワーを活用し、大規模なデータ統合タスクを処理します。この種のツールでは、スケーラビリティ、コスト効率、他のクラウドサービスとの容易な統合が得られます。
エンタープライズ級の ETL ツール
エンタープライズ級のツールは、包括的な機能と強固な機能を提供します。この種のツールは、複雑なデータ統合の場合に向けて設計されており、データガバナンスやメタデータ管理などの高度な機能があります。
リアルタイム ETL ツール
リアルタイム ETL ツールは、ストリーミングデータ統合に焦点を当てています。この種のツールで、リアルタイムでのデータ処理と統合ができるようになることから、最新かつタイムリーなインサイトが保証されます。
セルフサービス ETL ツール
セルフサービス ETL ツールで、ビジネスユーザーは、IT チームに過度に依存することなくデータ統合タスクを実行できるようになります。この種のユーザーに優しいツールには、ドラッグ&ドロップのインターフェースがあり、最小限のコーディング知識しか必要ありません。
ETL ツールの評価方法
適切な ETL ツールの選択は、スケーラビリティ(拡張性)、データ統合要件の複雑さ、予算などの要因によって変わってきます。なので ETL ツールを探す際には、どのようなデータソースの接続が必要なのか、どの程度の自動化が必要なのか、クラウドとオンプレミスのどちらが良いかなどのニーズとオプションを評価することが重要です。
このような質問に対する答えによって、ETL ツールに求める機能が決まってきます。
ETL ツールを評価する際に考慮すべき主な基準は以下の通りです:
- 使いやすさ: ツールには直感的なユーザーインターフェースがあるか、それとも複雑なコーディングやスクリプトが必要か。一般的なデータソース用のデータコネクタが事前構築されているか。
- スケーラビリティ(拡張性): そのツールは大量のデータを処理できるか?どのくらい早くデータを処理できるか。
- セキュリティ:ツールは安全なデータ転送と機密情報の暗号化を提供しているか。特定のデータの閲覧や修正に関するアクセス制御ができるか。
- ドキュメンテーションとサポート: ベンダーは、詳細なドキュメント、チュートリアル、その他のリソースを提供しているか。カスタマーサービスやテクニカルサポートは利用可能か。
- 高度な機能: その ETL ツールには、データ変換、検証、自動ワークフローなどの機能があるか。より複雑なタスクのカスタムコーディングができるか。
- コスト:その ETLツールの導入と使用にかかる総費用は。使用やアップグレードに伴う追加コストはあるか。
検討をおすすめする ETL ツール7選
- Integrate.io
- Portable
- Talend
- Informatica
- Oracle Data Integrator
- Stitch Data
- Fivetran
ETL はデータウェアハウスやアナリティクスに不可欠ですが、ETL ソフトウェアツールがすべて同じように作られているわけではなく、最適な ETL ツールというのは、状況やユースケースによって変わってきます。そこで、今オススメのETL ソフトウェアツールを7つと、その他にもいくつか見ていきましょう:
1. Integrate.io
料金:14日間無料トライアル & 柔軟な有料プランあり
Integrate.io は、データの準備と変換をしやすくするクラウドベースの ETL ツールです。複数のソースとデスティネーション間のデータパイプラインを構築するための直感的なビジュアルインターフェースを備えており、技術的なユーザーもそうでないユーザーもデータパイプラインの構築や管理ができます。ユーザーは、Integrate.io のローコードソリューションを使うことで、目的のデータの送信先にデータを格納する前に、220種類を超えるさまざまなデータ変換から選択してデータを準備できます。また、このプラットフォームには、ELT(抽出、格納、変換)、リバース ETL、市場最速の CDC(変換データキャプチャ)があり、データ統合のあらゆるニーズに対応するワンストップショップとなっています。
このプラットフォームは非常に柔軟なデータ統合ソリューションであり、セブンイレブン、キャタピラー、サムスンなどの大手企業で、分析 ETL およびオペレーショナル ETL 両方のユースケースで使われています。
主なユースケースに以下の4つがあります。
- BI 分析およびレポーティングに向けたデータプレパレーション - 特に、コードや SQL を使わずにデータを準備したい顧客向け。
- ファイルデータの準備および B2B データ共有
- Salesforce、NetSuite、HubSpot などの CRM や ERP へのデータプレパレーションおよび格納。
- リアルタイムデータベースレプリケーションによるデータ製品の強化
Integrate.io を使う利点としては、その他にエンジニアや技術チームメンバーへの依存度が低いこと、どこからでもデータを取り込むことができること、データ変換の簡単な実装、GDPR、HIPAA、その他の地域固有のコンプライアンス要件への準拠の保証などが挙げられます。
このような利点から、Integrate.io は G2 のサイトの レビュアー193名から、5つ星のうち平均 4.3 の評価を得ており、2024年秋の ETL ツール分野における G2 の「第一線」の1つにも選ばれています。また、ある認証ユーザーは、「Integrate.io は、自分のビジネスのニーズにに対してすべて簡単に導入できました。データパイプラインは難なく自動化され、Integrate のチーム全体が素晴らしい仕事をしてくれました。」とコメントしています。
Integrate.io の主な特徴:
- 柔軟性と使いやすさ:使いやすさを追求して構築されたプラットフォームは、技術系ユーザーも非技術系ユーザーも、シームレスな方法でデータパイプラインの構築および管理ができる。
- ローコードによるデータ変換: Integrate.io は、パイプライン内のデータ変換を管理できる強力なデータエンジンに対応している。また、格納前にデータ変換を行うことで、データウェアハウスの計算コストが削減され、これが大容量のデータを取り込むための非常に費用対効果の高い機能となっている。
- スケーラビリティ: Integrate.io は、ビジネスニーズに合わせて拡張できるため、データを扱い続けながら新しいユースケースの追加ができる。
- カスタマーサポート:Integrate.io のチームは、ユーザーの質問や問題をいつでもサポートしている。適切な応答時間のもとで、いつでも顧客のサポートをしっかりやってくれる。
- セキュリティ:Integrate.io のサイバーセキュリティチームのおかげで、データアーキテクチャ全体のセキュリティとコンプライアンスのベストプラクティスが保証される。
- コネクタと統合: Integrate.io には、さまざまなシステムやアプリケーションへのコネクタが200以上あることから、ビジネスは、複数のソースとデスティネーションの間のデータをサッと接続することができる。
- 高度なモニタリング: Integrate.io では、高度なモニタリングとロギング機能によって、トラブルシューティングがシンプルになり、統合の問題を未然に防げることで、安心してデータを利用することができる。
- カスタマイズ:Integrate.io には、X-console、リッチな表現言語、高度な API 、Web フックなど、様々なカスタマイズ機能があり、ユーザーは自由にプラットフォームをカスタマイズすることができる。
- REST API: Integrate.io の UI 全体は、外部向けの REST API 上に構築されています。つまり、UI からできることはすべて、API を使ってプログラム的に行うこともできる。
まとめると、Integrate.io は、最小限の労力でサッと簡単にシステムを統合したい人にとって、とてもいい選択肢です。Integrate.io は強固な機能と比類のないカスタマーサポートにより、ETL 業界における重要なプレーヤーとなっています。また、幅広いデータ変換機能と統合テンプレートにより、あらゆる規模のビジネスに最適な選択肢となり、その競争力のある料金で、予算重視の顧客にとって魅力的な選択肢となっています。Integrate.io を利用すれば、クラス最高のサポートと信頼性で、データプロジェクトをサッと正確に遂行することができるでしょう。
2. Portable
料金:月額:1フロー当たり200ドル。年間:1フロー当たり2,000ドル
Portable は、分析チームが1000以上のシステムからデータウェアハウスにデータを取り込むのを支援する、コード不要の ETL ツールです。このソリューションは、製品とサービスの中間のようなものであり、事前構築済みコネクタのカタログと、データチームのためのカスタム ETL コネクタのオンデマンド開発を組み合わせたものとなっています。
多くのデータ専門家が、市場のどこにも見つからないニッチなロングテール コネクタに Portable を使っていますが、Portable には、(CRM システムや応募者追跡ツールなどの)より一般的にアクセス可能なビジネス アプリケーション にもコスト効率の高いソリューションがあります。
Portable は、G2 で5つ星のうち平均4.8を獲得しており、速やかなコネクタ開発、実践的な顧客サポート、および固定の月額料金に焦点を当てています。Pair Eyewearでデータと分析をリードするザック・ウィルナー氏は、「Portable のチームは、私がこれまで仕事をした中で最も反応の良いチームであり、例えば新規の統合だったら2時間以内に作成してくれます。彼らのチームがいかに素晴らしいかは強調しきれません。」と言っています。
Portable の主な特徴
- オンデマンド・コネクタ開発:Portable は光速のコネクタ開発能力で知られており、カスタムコネクタのリクエストを数分や数時間で本番の統合に変えてくれる。
- 実践的なカスタマーサポート: Portable のチームは実践的であり、通常、ロングテールコネクタを扱う場合、データチームは社内での統合の構築および維持が必要だが、Portable を使う場合は、問題が発生したときにチームがオンコールで対応してくれる。
- 固定料金の API コネクタ:API からウェアハウスへのコネクタの固定料金モデルにより、データチームは毎月の使用量を気にする必要がなくなり、価値の高いインサイトの生成に集中できる。
- コード不要でセルフサービスのエクスペリエンス:Portable は PLG(製品主導の成長) の Go-to-Market(市場参入)の動きにより、コード不要でセルフサービスの ETL エクスペリエンスを顧客に提供することに重点を置いている。
まとめると、Portable は、特注のニッチな API データ統合のためのマネージドソリューションを探している人や、大規模なビジネスアプリケーションを分析用のデータウェアハウスに接続するための費用対効果の高いソリューションを探している人にとっては、素晴らしいソリューションとなります。
3. Talend
料金:月額:1ユーザーあたり1,170ドル。年額:1ユーザーあたり12,000ドル。
Talend には ETL データ統合ソリューションスイートがあります。また、このプラットフォームは、オンプレミスおよびクラウドのデータソースと互換性があり、何百もの事前構築済みの統合が含まれています。
Talend のオープンソース版(Talend Open Studio)で十分だと思うユーザーもいますが、大企業には Talend の有料のデータ統合プラットフォームがいいでしょう。このバージョンの Talend には、デザイン、生産性、管理、モニタリング、BI(ビジネスインテリジェンス)、データガバナンスのための追加のツールと機能が含まれていますからね。
Talend Data Integration は G2 で5つ星のうち平均4.0の評価を得ており、Web サイトでは2024年の冬にこのプラットフォームの速やかな実装が行われることが強調されています。レビュアーのジャン L. 氏は、「Talend Data Integrationは ”明確で理解しやすいインターフェース” を備えた ”データ統合のための素晴らしい万能ツール ” である」と述べています。
Talend の主な特徴
- 迅速な実装:Talend のデータ統合プラットフォームは、大規模なデータ構造をサッと正確に実装でる。
- データ品質:Talend にプロファイリング、クレンジング、重複の最小化でデータの品質が維持される。
- データガバナンス:Talend のプラットフォームでは、タグ付け、追跡、監視機能によってデータガバナンスが管理される。
- 自動化とスケジューリング:スケジューリング機能によってデータ統合プロセスを自動化する機能が得られる。
まとめると、Talend はデータ統合プラットフォームを探している人にとって強力で信頼できるソリューションとなります。さまざまな機能と性能があるため、大量のデータの効率的な管理や分析ができ、それによって組織はデータを最大限に活用することができるようになります。
4. Informatica PowerCenter
料金:月額2,000ドルから。無料トライアルあり。
Informatica PowerCenter は、ETL ワークロード向けの、成熟した機能豊富なエンタープライズデータ統合プラットフォームです。ちなみに PowerCenter は、Informatica のクラウドデータ管理ツール群の1つに過ぎません。
PowerCenter は、エンタープライズ級のデータベースニュートラルなソリューションであり、高いパフォーマンスと、SQL および非 SQL データベースなどのさまざまなデータソースとの互換性に定評があります。これを使うことで構造化データおよび非構造化データをどこからでも移動したり、データ統合プロジェクトを改善することができます。
Informatica PowerCenter のマイナス点としては、料金が高いことや、技術力が乏しい小規模組織にとって導入を躊躇させるほどの習得の難しさが挙げられます。Informatica は Web サイト上でさまざまなチュートリアルやリソースが提供されていますが、ユーザーによってはその習得が大変になる可能性があり、本記事にある他の ETL ツールの方が適しているかもしれない場合があります。
このような欠点があるにもかかわらず、Informatica PowerCenter は、G2 の5つ星のうち平均 4.4を獲得し、2024年の IT インフラ製品のトップ50に選ばれるほどの支持を得ており、レビュアーのビクター C.氏は、PowerCenterを「これまで使ってきた中で、おそらく最も強力な ETL ツール」と評価しています。ただ、彼は「PowerCenter は動作が遅く、Tableau や QlikView のようなビジュアライゼーションツールとうまく統合できない」とも言っています。
Informatica の主な特徴
- データの取り込みと変換の自動化:ETL プロセスが自動化されることで、ソース間のデータ移動がより早くて簡単になる。
- 強固なセキュリティオプション:さまざまな暗号化やユーザーアクセス制御、その他のセキュリティ対策により、機密データが保護される。
- 高度な分析:予測分析や ML(機械学習)アルゴリズムなどを使って、データセットに対するインサイトを得ることができる。
- 可視化ツールとの統合:Tableau や QlikView などの多広く使われているビジュアライゼーションと簡単に統合できる。
- スケーラビリティ:小規模なデータセットから大規模なウェアハウスまでのデータに対応している。
まとめると、Informatica は強力な IT インフラストラクチャ製品であり、企業がデータをサッと安全に移動できるよう支援します。初期設定が必要ですが、データ管理、アナリティクス機能、セキュリティの向上というメリットを考えると、その労力は十分見合うものです。
5. Oracle Data Integrator
料金: 価格ページへ
Oracle Data Integrator(ODI)は、Oracle のデータ管理エコシステムの一部である包括的なデータ統合ソリューションです。なのでこのプラットフォームは、Hyperion Financial Management(グループ経営管理)や Oracle E-Business Suite(EBS)など、他の Oracle アプリケーションを現在使っているユーザーにとっても賢い選択となります。また、ODI には「オンプレミス版」と「クラウド版」があります(後者には Oracle Data Integration Platform Cloud がある)。
Oracle Data Integrator は、このリストに掲載されている他のほとんどのソフトウェアツールとは異なり、(ETL の実行もできますが)主に ELT(抽出、格納、変換)のワークロードに対応しています。また、本記事で紹介されている他のほとんどのツールよりも必要最低限の機能しか備えておらず、特定の周辺機能は他の Oracle のソフトウェアに含まれています。
Oracle Data Integrator のG2での平均評価は5つ星中4.0であり、G2 のレビュアーであるクリストファー T. 氏によると、ODI は「非常に強力なツールで、オプションも豊富」であると同時に「習得が難しすぎ」て「トレーニングが絶対に必要」だということです。
Oracle Data Integrator の主な機能:
- 高度なデータ変換機能
- Hadoop および NoSQL データベースとの接続性
- データ統合プロセスの自動化のための強固なスケジューリングエンジン
- Oracle Data Integration Platform Cloud で利用可能なクラウド版
- SQL クエリの作成とデバッグのための強固なグラフィカルインターフェースである SQL Developer を搭載
まとめると、Oracle Data Integrator は多くの機能と性能を備えた強力な ETL ツールであり、Hadoop や NoSQL データベースと接続する機能や、自動化機能など、データ統合プロセスの効率化を目指す企業にとって魅力的な選択肢となります。ただ、適切なトレーニングや練習なしに習得するのは難しいので、ユーザーは注意が必要です。
6. Stitch Data
料金:月額100ドルから 14日間の無制限トライアルあり
Stitch はオープンソースの ELT データ統合プラットフォームですが、Talendのように、より高度なユースケースや多数のデータソース向けの有料サービス層もあります。本記事の比較は様々な意味で適切です: Talend が2018年11月にStitch を買収していますからね。
Stitch のプラットフォームは、セルフサービスの ELT と自動化されたデータパイプラインを提供することで、他のプラットフォームとは一線を画しています。ただ、これから利用しようとするユーザーは、Stitch の ELT ツールは任意の変換を行わない点に注意すべきです。むしろ、Stitch のチームは、データウェアハウス内では、生データの上にレイヤーを重ねて変換を追加することを提案してます。
G2 ユーザーによる評価はおおむね好意的で、平均評価は5つ星のうち4.5です。同サイトはまた、 Stitch を2024年冬の「第一線」に選出しています。あるレビュアーは、Stitch の 「シンプルな料金設定、内部構造のオープンソース化、導入のしやすさ 」を評価していますが、Stitch のレビューの中には、技術的な小さな問題や、あまり一般的でないデータソースのサポート不足を挙げるものもあります。
Stitch の主な特徴
- リアルタイムのアラートによる、正確で一貫性のあるデータフローの実現
- 自動化された ELT プロセスによる、インサイトまでの時間の短縮
- サポートチーム可視化のための高度なモニタリング&トラブルシューティングツール
- 品質保証のためのデータプレビュー機能
- 自動スケーラビリティにより、データプラットフォームの高可用性の確保
まとめると、Stitch は使いやすく信頼性の高いデータプラットフォームが必要な企業にとって素晴らしい選択肢となります。ただ、どのようなデータプラットフォームでも、技術的な問題があったり、あまり普及していないデータソースのサポートがなかったりする可能性があることに注意することが重要です。なので、チームのためにプラットフォームを選択する前に、必ずデューデリジェンスを行い、プラットフォームを徹底的に調査しましょう。そうすることで、選択したデータプラットフォームがニーズをすべて満たしてことが保証されます。 あStitch は素晴らしい選択肢ですが、他のサービスやプラットフォームとの互換性も確認しましょう。
7. Fivetran
料金:月間のアクティブ行数に基づく料金設定で、利用率曲線はこちらで詳しく説明されています。 ちなみに、データ ソースに応じて、MAR は 50 万から 100 万 MAR/GB 程度で GB に変換できます。
Fivetran は、Redshift、BigQuery、Azure、Snowflake のデータウェアハウスとのデータ統合に対応するクラウドベースの ETL ソリューションです。Fivetran の最大の利点の1つに、複数の SaaS ソースを利用でき、独自のカスタム統合を追加できる豊富なデータソースが挙げられます。
Fivetran は現在、G2で5つ星のうち4.2を獲得しており、多くのユーザーからプラットフォームのシンプルさと使いやすさが賞賛されています。G2 はまた、この ETL ツールを20204年冬の「第一線」に選びました。レビュアーのダニエル H.氏は、「Fivetran については時間をかけて考える必要はありません。つまり、Fivetran が必要な機能を果たしてくれているということです。例えば新しいコネクタの接続は、通常、しっかりしたドキュメントがあれば、サッと簡単に行うことができます。」と言っています。
ただ、G2レビュアーの中には、Fivetran の消費ベースの料金モデルに不満を持っている人もいます(同プラットフォームは以前、コネクタの使用数に応じて顧客に課金していたが、特定のデータ統合ユースケースにおいては、その方が割安になることもある)。さらに、以下のように技術的な問題やカスタマーサポートに問題を抱えているユーザーも少なからず存在します: 「Fivetran はブラックボックスで、問題が発生したときに診断するのは本当に難しく、サポート ラインもあまり良くありません。」
Fivetran の主な特徴:
- データセキュリティとプライバシー管理
- 自動データ変換機能
- リアルタイム分析機能
- ロギングとレポート機能
まとめると、Fivetran はデータ統合プロセスの効率化を目指す企業にとっては素晴らしい ETL ソリューションとなります。このプラットフォームで、あらゆる規模の企業は、複数のソースからのデータをサッとコスト効率よく分析可能な形に移行および変換しやすくなります。また、Fivetran のカスタマーサービスと料金体系には問題がいくつか報告されていますが、同社では強固なセキュリティとプライバシー管理、自動化されたデータ変換機能、リアルタイム分析機能、ロギング/レポーティングツールが提供されています。このような特徴を持つ Fivetran は、データ統合プロセスの改善を検討している企業にとって最適な選択肢となるでしょう。
検討をおすすめするその他の ETL ツール
上記の7つのソリューションは、Integrate.io が個人的におすすめする ETL ツールですが、他にも検討すべき選択肢はたくさんあります。以下では、技術スタックに追加したい ETL ツールを7つご紹介します。
1. Striim
Striim には、ビッグデータワークロードのためのリアルタイムデータ統合プラットフォームがあり、ユーザーは、Oracle、SQL Server、MySQL、PostgreSQL、MongoDB、Hadoop などのさまざまなデータソースとターゲットを、さまざまなファイル形式で統合できます。また、Striim は GDPR や HIPAA などのデータプライバシー規制に準拠しており、ユーザーは SQL または Java を使って事前読み込み変換を定めることができます。
ただし、Striim プラットフォームには欠点がいくつかあり、例えば、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)のソースやターゲットは含まれておらず、ユーザーは新しいデータソースの追加ができません。さらに、Striim のユーザーベースはかなり小さいようで、G2 にはたった1件のレビューしかありません。
2. Matillion
Matillion は、Redshift、Snowflake、BigQuery、Azure Synapse とデータを統合できるクラウド ETL プラットフォームであり、シンプルなポイント&クリックのインターフェース、または SQL で定義することにより、データ変換を作成することができます。
残念ながら、Matillion は Striim と同じような欠点に悩まされています:Matillion で利用可能な SaaS ソースの数は、本記事にある他のオプションと比べると不足しています。さらに、G2(Matillion は5つ星のうち4.4)のレビュアーは、「料金体系は、ジョブの数やコンピューティングリソースの使用量ではなく、仮想マシンの起動時間に基づいて課金されるので、使用量が少ない顧客には向いていません。」と言っています。
3. Pentaho
Pentaho(別名Kettle)は、日立バンタラが提供するオープンソースのプラットフォームで、データ統合と分析に使われます。ユーザーは Pentaho の無料の「コミュニティエディション」の利用か、「エンタープライズエディション」の商用ライセンスの購入ができます。また、Integrate.io のように、ETL 初心者が強固なデータパイプラインを構築できるユーザーに優しいインターフェースが備わっています。
ただ Pentaho には、テンプレートの限られたセットと技術的な問題など、独自の欠点があり、G2 において5つ星のうち平均4.3の評価を得ていますが、「ログ画面にエラーの詳細な説明がないため、エラーの原因を見つけられないことがある。」という問題に遭遇したことを訴えるユーザーもいます。
4. AWS Glue
AWS Glue は、Amazon Web Services が提供するフルマネージド ETL サービスで、ビッグデータや分析ワークロードを対象としています。AWS Glue は、フルマネージドでエンドツーエンドの ETL サービスとして、ETL のワークロードの苦痛を取り除くように設計されており、AWS エコシステムの他の部分とうまく統合されています。
特筆すべきは、AWS Glue がサーバーレスである点です。つまり、Amazon がユーザーのために自動的にサーバーを用意して、ワークロードが完了するとシャットダウンしてくれます。また、AWS Glue には、ジョブスケジューリングやAWS Glue スクリプトをテストするための 「デベロッパーエンドポイント 」といった機能も含まれており、それによってツールの使いやすさが上がります。
AWS Glue のユーザーからは、概ね高い評価を得ています。現在、G2 では5つ星のうち4.2を獲得しており、2023年冬の ETL ツールの分野で 「第一線」に選ばれていますが、AWS Glue は、他のプラットフォームよりも柔軟性が低く、一般的に AWS エコシステム内のユーザーに最も適しているため、Integrate.io のオススメ ETL ツール7選には入っていません。
5. Panoply
Panoply は、データ統合プロセスをシンプルにすることを目的とした、自動化されたセルフサービスのクラウドデータウェアハウスであり、標準的な ODBC/JDBC 接続、Postgres 接続、AWS Redshift 接続が可能なデータコネクタであれば、Panoply との互換性があります。さらに、ユーザーは Panoply を Stitch や Fivetran などの他の ETL ツールと接続して、データ統合ワークフローをさらに強化することができます。
G2 では、Panoply は5つ星のうち平均4.5を得ています。レビュアーのステイシー B.氏は、「Panoply の一番いいのは、複数のソースからデータを簡単にインポートできることであり、プログラムのセットアップとデータの読み込みは10分もかかりませんでした。」と言っています。
では、なぜ Panoply は Integrate.io のおすすめ ETL ツール7選に入っていないのでしょうか。Panoply には、データウェアハウスと ETL ソリューションの両方の機能を提供しようとしている点に大きな問題があり、既に別のクラウドデータウェアハウスを使っていて変更を求めていないのであれば、Panoply おすすめできません。
6. Alooma
Alooma は、クラウド上のデータウェアハウス向けの ETL データ移行ツールであり、主なセールスポイントは、データパイプラインの多くを自動化する点が挙げられ、それによって技術的な詳細を気にしすぎることなく、データ分析に集中できるようになります。
ただ、2019年2月に、Google が Alooma を買収して、今後のサインアップを Google Cloud Platform ユーザーに制限しました。つまり、Redshift や Snowflake などの他のデータウェアハウスを使っている顧客は、別のソリューションを探し続けるべきであるということです。
とはいえ、Alooma はユーザーから概ね好意的な評価を得ており、G2 では5つ星のうち4.1を獲得しています。あるユーザーは、「Alooma のコードエンジン機能によって提供される柔軟性が大好きです......(ただし)当社の内部ツールスタックにとって重要な入力の一部は、あまり成熟していません。」とコメントしています。
7. Hevo Data
Hevo Data は ETL データ統合プラットフォームであり、データベース、クラウドストレージ、SaaS ソースへの事前構築済みコネクタが100以上用意されています。ユーザーは Python を使って、Hevo Dataで独自の事前読み込み変換を定義できます。また、Hevo Data は、Redshift、BigQuery、Snowflake など、最も一般的なデータウェアハウスに対応しています。
ただ、Hevo の最大の制限の1つとして、独自のデータソースを追加できない点が挙げられます。なので新しい接続が必要な場合は、Hevo の開発者がその機能の要求に耳を傾けてくれることを願うしかありません。とはいえ、Hevo Data は G2 では概ね好意的な評価を得ており、平均ユーザースコアは5つ星中4.4点です。
おすすめ ETL ツールのユースケース
ETL ソフトウェアツールは、同じものは2つとなく、それぞれに利点と欠点があります。なのでビジネスのユースケースに最適な ETL ツールを見つけるには、要件、目標、優先順位を正直に評価する必要があります。
上記の比較から、各 ETL ツールに興味を持つであろうユーザーのタイプを以下のようにリスト化してみました:
- Integrate.io:ビジネスプロセスを自動化するために ETL や ELT のワークロードを使用している企業、技術者でない従業員でも使用できる直感的なドラッグ&ドロップインターフェースを好む企業、コードや SQL を記述することなくデータ変換を行いたい企業。
- Portable:ロングテールの ELT SaaS コネクタを探している企業。
- Talend: オープンソースのソリューションを好む企業(Talend Open Studio)、多くの事前構築済みの統合と追加機能が必要な企業(Talend Data Integration)。
- Informatica PowerCenter: 大規模な予算と厳しいパフォーマンスを必要とする大規模企業。
- Oracle Data Integrator:既存の Oracle 顧、ELT のワークロードを使用している企業。
- Stitch:オープンソースのソリューションを好む企業、シンプルな ELT プロセスを好む企業、複雑な変換を必要としない企業。
- Fivetran:多数の事前構築済み統合が必要な企業、複数のデータ ウェアハウスの柔軟性が必要な企業。
Integrate.io は、以下のツールをおすすめ ETL ソリューションに入れることはできませんが、特定のユースケースに適しているプラットフォームがあるかもしれません:
- Striim:GDPR や HIPAA に準拠する必要がある企業、新しいデータソースの追加の必要がない企業(特にSaaS)。
- Matillion:シンプルなポイント&クリックのインターフェースを使いたい企業、データソースの数が限られている企業。
- Pentaho:オープンソースの ETL ツールを好む企業。
- AWS Glue:AWS の既存顧客、完全に管理された ETL ソリューションが必要な企業。
- Panoply:ETL とデータウェアハウスを組み合わせたソリューションを求める企業。
- Alooma:Google Cloud Platformの既存顧客
- Hevo Data:Python を使って独自のデータ変換を追加したい企業、新しいデータソースの追加が必要ない企業。
Integrate.io が ETL でお手伝いできること
Integrate.io には以下のような特徴があることから、おすすめ ETL ツールの1つに挙げられます:
- データベース、CRM システム、SaaS ツール、データウェアハウス、データレイク、およびその他のソースやデスティネーション用の事前構築済みネイティブデータコネクタ
- ローコードによるデータ変換(コーディングやSQLは不要)
- GDPR およびその他のデータガバナンスフレームワークへの準拠
- ELT、リバース ETL、CDC、データウェアハウスインサイト、データオブザーバビリティなど、従来の ETL 以外のデータ統合ソリューション
- 業界の第一線を行くカスタマーサービス
- 独自のデータコネクタを構築できる
また、Integrate.io は、限られたスキルセットしか必要でないことから、習得が難しいということがなく、あらゆる規模の組織がデータを抽出、変換、格納できるので、ロケーション間でのデータの移動には一番いい方法となります。
Integrate.io では 以下のように ETL が行われます:
- データソースからデータを抽出し、ステージングエリアに配置する。
- データをデータウェアハウスなどの目的地に適した形式に変換する。変換段階には、不正確さのチェック、重複するデータセットの削除、データ統合が関連する業界標準や GDPR のような法律に準拠していることの確認などが含まれる。
- データを集中管理されたターゲットシステム(通常は分析用)に格納する。この段階で、データセットを Tableau、Looker、Microsoft などの BI(ビジネスインテリジェンス)ツールで実行し、
- より良い意思決定のための強力なインサイトを生成することができる。
- Integrate.io の2拠点間のデータ移動のユースケースは以下のようになる:
Salesforce のデータを分析し、最も価値のある顧客を発見したいとします。その際、Integrate.io のネイティブ Salesforce コネクタが、CRM システムからデータを抽出し、それをデータ分析に適した形式に変換し、Amazon Redshift のようなデータウェアハウスに格納します。このプロセスでは手作業はほとんど必要なく、Salesforce のデータからより多くの価値を得ることができます!
Integrate.ioは、データを ETL する手間を省く、コード不要のデータパイプラインプラットフォームなので、データ統合の課題に対処することなく、対応する場所にデータを ETL することができます。詳しくは、こちらからぜひお問い合わせください。