データ統合は、競争力のあるビジネスには欠かせないものです。様々なソースからデータをすべて同期させることで、より優れた洞察力、分析力、そして最終的にはビジネスの意思決定を速やかに行うことができます。CDC(変更データキャプチャ)は、データソース内のデータが変更されるとすぐにほぼリアルタイムで更新され、データを正確に保つことに焦点を当てたデータ統合の要素の1つです。
最高の CDC ツールに関するポイント5つ:
- CDC(変更データキャプチャ)は、データウェアハウスやレイクにデータを少しずつ流し、正確なデータの照合、データの複製、あるいはデータベース全体の複製を行うデータ統合手法である。
- CDC 処理では、データの複製は転送先で行われるため、データ転送は高速である。
- 最適な CDC ツールには、自動化、モニタリング、その他の追加機能が備わっている。
- 効果的なCDCは、BigQuery のようなツールによる分析に適した完全なビジネスデータを作成する。
- データ管理者は、CDC ツールの選択の前に、価格、能力、機能、利点の考慮が必要。
では、本記事で最高の CDC ツール、その特徴、長所、短所などを見ていきましょう。
CDC ツールとは
データ統合ツールは、日々の業務や長期的な分析に不可欠なビジネスアプリ、SaaS、データベースと接続する方法を見つけるものです。その方法の1つがETL(抽出、変換、格納)で、データパイプラインを介してソースに接続し、クラウドベースのステージングエリア(クラウドベースのETLプロバイダーの場合)でデータをクレンジングおよび変換し、Snowflake や Amazon Redshift などのデータウェアハウスに情報を格納することになります。
また、ELT(抽出、格納、変換) や CDC(変更データキャプチャ) という方法もあります。この方法では、ソースシステムからデータを高速に取得し、ソースでデータ変換イベントが発生するたびに更新されます。そして CDC ツールは、データ統合プラットフォームのソフトウェアの一部または側面であり、ユーザーがデータパイプラインを簡単に作成できるようにするもので、手動でのコーディングの必要性を回避することができます。
CDC が重要な理由
ビッグデータがますます大きくなるにつれ、データ統合はこれまで以上に不可欠なものとなっています。2025年には世界で181ゼタバイトのデータが生成されると言われていることから、企業はリアルタイム分析のためにデータへの接続と移動を行う方法を見つけないといけません。
ETL は、過去のデータを完全に格納するのにはいいですが、データウェアハウスの更新が必要なたびにこれを行うのは、リソースを大量に消費しますし、時間がかかります。一方 CDCは、データを小分けにして転送することで、より迅速に、より少ないネットワーク使用量でデータを転送します。それによって、企業のコスト削減が実現され、データの手動プルや自動化にも頼らず、データを可能な限り正確にすることができます。これは、CDC のツールに接続を促し、新しいデータを集めるデータソースにおける変更なのです。
また、CDC はレイテンシーの回避においても重要です。CDC はターゲットシステムを増分ワークロードで更新するため、高負荷のクエリが処理される間にシステムが突然遅れ始めることはありません。リアルタイムでデータをストリーミングすることで、常に変化する巨大なデータストアに依存するML(機械学習)モデルなど、ビジネステクノロジーの多くの新しい局面に貢献することができるのです。
CDC ツールの仕組み
CDCツールには、「削除」、「更新」、「挿入」イベントなど、リレーショナルデータベースのテーブルの行レベルの変更を検出する機能が備わっており、そのような変更は、最終的に CDC ソフトウェアが接続し、ソースからデスティネーション、場合によってはこのデータに依存している他のシステムに調整されたデータを引き出すための通知として機能します。
CDC の仕組みは、以下のようになります:
- ソースで変更されたあらゆるデータを抽出する
- データ取り込みのために、データを直接データ保存先に格納する
- 送信先のフォーマットに沿ったデータ変換を実現するのに、データ送信先のリソースを活用する - これはデータのさまざまな側面の標準化、クレンジング、ソート、および検証が含まれる場合がある。
データはソースで変更された順番にしか更新されないため、それがデータレイクやウェアハウスでのデータの重複を避けることになり、それによって、利用可能なリソースの効果を最大限に高めることができます。
今使えるオススメ CDC ツール5選
最適な CDC ツールを探す際には、どのような点に注目すればよいのでしょうか。
以下の機能に着目しましょう:
- 設定と使用が簡単
- ノーコードまたはローコードのインターフェース
- 内蔵されたコネクタやデータパイプライン
- データ分析または複数種類のデータ統合ソリューションなどの追加サービス
- データモニタリングと異常検知
では、今市場に出回っている CDC ツールの中で、オススメのツールを5つ見てみましょう。
1.Integrate.io
Integrate.ioは、ETL、リバース ETL、超高速 CDC 機能をユーザーに提供する完全なデータ統合プラットフォーム(iPaaS)をサービスとして提供しています。コード不要のドラッグ&ドロップのインターフェースによって、データパイプラインの面倒なマニュアルコーディングに伴うペインポイントがなくなり、データ管理やエンジニア以外の人材もデータ統合や分析に携わることができるようになります。
料金体系:14日間の無料トライアルと柔軟な有料プラン
特徴: Integrate.io には、一般的なビジネス SaaS、CRM(顧客関係管理)ツール、ERP(企業資源計画)ソリューションなど、すぐに使えるコネクタが 100 以上も用意されています。また、受賞歴のあるこのプラットフォームは、大規模企業向けのサイバーセキュリティや、フィールドレベルの暗号化を提供し、完全にスケーラブルです。そして最近だと、G2で「Momentum Leader」に選出されました。
レビュー:Integrate.io は、使いやすさとセットアップのしやすさで高い評価を得ており、サポートに関しても非常に優れています。准データアナリストからの5つ星レビューでは、自動化ツールや様々なアプリやシステムとの接続が可能であることが評価されています。また、CDCの要件を満たすために Integrate.io を使い続ける主な理由として、使いやすさ、完璧なデータレプリケーション、「パートナーサクセスのメンタリティ」を挙げています。
長所:
- 膨大な量の内蔵コネクタ
- 受賞歴のあるサービス
- CDC を含むデータ統合サービスの完全なプラットフォーム
- データパイプラインの設定の速さと簡単さ
短所:
- データ管理の経験が全くない人には、学習が必要な場合がある
- エラー報告には、より高度な技術やコーディングの知識が必要な場合があるが、サポートチームの懇切丁寧なサポート有り
2.Talend クラウドデータ統合
Talend は、データ管理と統合の分野で有名な企業であり、その iPaaS が本記事で選ばれても、それを驚く人はあまりいないでしょうが、全体的な評価は「小規模」な競合他社よりも高くはないというのには驚かれるかもしれませんね。ちなみに、2023年4月現在、G2のスコアは5点満点中4.3点です。
料金体系:Talendは、中堅企業から大規模企業まで、オーダーメイドの価格オプションを提供しています。
特徴:Talend の Web サイトでは、AWS や Snowflake といった大手テック企業との「深いパートナーシップと統合」をアピールしており、すでにこのようなプロバイダーと連携している企業には安心感を与えています。また、Gartner の Magic Quadrant Leaders の一員に選ばれています。さらに、Talendは、CDC と API 管理を組み合わせることで、単一のデータ送信先で使用できる複数のデータタイプを高速に統合することができ、加えて、自社のパイプラインがどのような環境でも動作し、それによってベンダーロックインを回避していることもアピールしています。
レビュー:Talendは、使いやすさ、セットアップ、サポートについて10点満点中約8.5点を獲得しています。レビューでは、サービスがスケーラブルであること、ビジュアルインターフェースによりオンプレミスとクラウドベースの両方のデータベースと簡単に接続できることが強調されています。ただ一方で、Talend は高価であり、機能が限られているため、必ずしも高コストを正当化できないことも強調されています。あるマーケティング・メディア・プランニングの専門家からは、このプラットフォームについて「コストが高く、機能が限られている」と言われており、速度や性能の低さ、アルゴリズムの制限などの問題がいくつか指摘されています。
長所:
- 包括的な内蔵のモニタリングソリューション
- 優れたデータクレンジング/標準化/組織化
- 関連する機能が、使いやすようにひとまとめになっている
短所:
- メモリやリソース不足が、速度やパフォーマンスの低下に繋がる
- 複雑なデータ作業を行うには、基本的すぎるツールもある
- 高い
関連記事:Talend vs. Integrate.io: Comparison and Review(Talendと Integrate.io: 比較とレビュー)
3.Hevo Data
Hevo Data は双方向のデータ統合プラットフォームで、ETL、リバースETL、ELT/CDCを提供します。他の製品同様、コード不要のソリューションであり、ユーザーは簡単にデータパイプラインを作成することができます。
料金体系:Hevo Data は無料デモが提供されています。また、基本パッケージは249ドルからとなっており、価格はユーザーの要件に応じて増減します。
特徴:Hevo Dataは、データロスをゼロにすることに重点を置いており、それによって、問題が発生した場合でも、データを復元することができ、問題の根本原因を速やかにに見つけることができるプラットフォームであることが約束されています。また、Hevoは、正確なデータ移動と複製により、ほぼリアルタイムのデータ分析を促進し、100以上のデータソースにリンクしています。
レビュー:Hevo Dataは、セットアップのしやすさ、使いやすさ、サポートの質で非常に高いスコアを獲得しました。特に、初期設定時にサポートが手厚く、不具合を解消してくれることが評価されています。あるレビュアーは「...セットアップ中に問題にいくつか直面するかもしれませんが、サポートチームが助けてくれます。なので、全体として良い製品だと思います。」とコメントしています。
長所:
- 豊富な統合数
- データの自動識別
- 使いやすさ
短所:
- 既存のパイプラインは編集が難しい
- 削除されたパイプラインは、以前の識別子を永久に保持するため、混乱を招きかねない。
- エラーメッセージが次のステップを示唆しないことがある。
関連記事: Hevo vs Fivetran vs Integrate.io:ETLツールの比較
4.Fivetran
Fivetran は、ノーコードで設定要らずのデータ統合ソリューションを提供しており、キャッチフレーズは、「現実のデータアナリストの要求によって形作られている」です。
料金体系:「スタータープラン」と「スタンダードプラン」は従量課金制、「エンタープライズプラン」は個別対応となります。
特徴:エンタープライズプランでは、高度なデータガバナンスツールに加え、データ統合のための ETL および CDC オプションが提供されます。また、自動化によって、ユーザーは5分間隔または変更発生時にデータ移行を設定することができます。Fivetranは、独自のREST APIを提供し、さらなる接続性を実現しています。
レビュー:Fivetranは、セットアップのしやすさで最も高いスコアを獲得していますが、サービスやサポートに関しては、スコアが少し下がっています。あるレビューでは、「価格設定が不透明で、サポートが役に立たなかった」と書かれていますが、Fivetranを「命の恩人」と呼んで、サービスの速さと信頼性を強調するレビューもあります。
長所:
- 豊富なデータコネクタ
- スキーマの自動統合
- スタータープラン以上はすべてユーザー数は無制限に対応
短所:
- 従量課金モデルは、企業がデータ要件を拡大するにつれて高価になる可能性がありる。
- スタータープランでは、ユーザー数が限られる
関連記事: Fivetran vs Integrate.io: 完全比較ガイド
5.Qlik Replicate
Qlik Replicate の前身である Attunity をご存じでしょうか。Qlik は、CDC をはじめとする様々な手法を活用し、数十のデータベース、ビッグデータプラットフォーム、データウェアハウス間でのデータ移動とレプリケーションに対応しています。
料金体系:企業は、カスタム見積もりについて Qlik への問い合わせが必要です。
特徴:Qlikのリアルタイムデータレプリケーションツールには、データガバナンスツールとモニタリングソリューションが含まれています。また、このツールは、高い拡張性と自動化オプションにより、ガートナー社のマジック・クアドラントに認定されています。
レビュー:Qlikは、他のツールとは異なり、「セットアップのしやすさ」のカテゴリーでかなり低いスコアを記録しています。これは、利用できるサポートが少ないか、あるいはユーザーがみんな持っているわけではない一定レベルの技術的知識がシステムに想定されているためと思われます。なお、肯定的なレビューでは、クラウドベースのソリューションだけでなく、オンプレミスバージョンがあることが評価されています。
長所:
- データの取り込みとレプリケーションの効率化。
- 大容量のソースとデスティネーション
短所:
- 同期に失敗するとフリーズしたり、データのフルリロードが必要になるなど、信頼性に問題がある。
- 製品サポートがない
- エラーメッセージがわかりにくい
CDC ツールの選択
適切な CDC ツールの選択は、もちろんユースケースのシナリオと DataOps チームの経験によって違ってきます。今回ご紹介しているCDCツール5選のうち、各ツールは一部のユーザーを魅了する機能を備えていますが、他の側面はすべてのビジネスに適合するわけではない可能性があります:
- Talend は様々な機能を提供しているが、中小企業には高価すぎることが多い。
- Hevo Data は、ソースデータベースやデスティネーションへの豊富なコネクタのおかげで人気ではあるが、高価なプラットフォームのような詳細なモニタリング機能は備わっていない。
- Fivetran も複数のコネクタに対応しており、使い勝手の良さが評価されているが、一部のユーザーからは、「サポートが不十分」、「価格設定が不明瞭」、あるいは「すぐにエスカレートする」などの不満の声が上がっている。
- Qlik Replicate は、詳細なトランザクションログなどのモニタリングとデータガバナンスツールを提供するが、複雑さのレベルは一部の初心者ユーザーのレベルを超えており、信頼性が問題になり得る。
CDC を他のデータ統合手法と併用し、使いやすく、優れたユーザーサポートを提供する iPaaS をお望みなら、Integrate.io は現在利用できる中で一番いい、受賞歴のある CDC ソリューションであることがレビューで示されています。
CDC の一般的なユースケース
CDC ツールが様々なソースからデータを取得し、データウェアハウスにアップロードすることはご存知だと思います。では、なぜこのようなことが必要なのでしょうか?答えは、「様々な理由があるから」です。
CDC は、データベースの変更を追跡し、リアルタイムで捉える(キャプチャする)のに使用されるプロセスであり、それによって他のシステムが更新されたときにデータを利用できるようになります。CDC の一般的なユースケースは、データウェアハウスやデータ統合のシナリオで、ソースとなるデータベースの変更をデータウェアハウスや他の下流システムで最新の状態に保つために、リアルタイムの更新が必要な場合です。
例えば、ある企業が、新しい注文、顧客情報、在庫の変更などで常に更新されるトランザクションデータベースを保有しているとします。そのデータベースは、レポートや分析に使われるデータウェアハウスにフィードされ、CDC がなければ、データウェアハウスはトランザクションデータベースから定期的にデータを更新する必要があり、その結果、遅延や古い情報が発生する可能性があります。
そこで CDC を使うことで、トランザクションデータベースへの変更をリアルタイムで捕捉してデータウェアハウスに送信し、ウェアハウス内のデータを常に最新に保つことができます。それによって、アナリストやその他のユーザーは、バッチ処理の実行を待つことなく最新の情報にアクセスでき、レポートやダッシュボードは常に正確で最新の情報を反映していることが保証されるのです。
CDC ツール:Integrate.io ができること
最高の CDC ツールをお探しなら、Integrate.io は、より実用的なデータウェアハウスのインサイトを得るために、データのよりよい管理に必要な機能を備えていると確信しています。
Integrate.io の強力な CDC 技術によって、データウェアハウスとソースデータベースの同期を常に確保し、データ駆動型の意思決定をより速やかに行えます。14日間の無料トライアルで、Integrate.io の CDC があなたのビジネスにもたらす違いをぜひご確認ください。