データ主導の今日の状況において、データを収集、処理、分析する能力は、あらゆる規模の企業にとって非常に重要なものとなっており、Snowflake のような集中型ウェアハウスにデータを抽出、変換、格納(ETL)するのがずっと標準的な手法でしたが、データから価値を引き出すための次のステップとして、データアクティベーションの概念が支持を集めてきています。
では、データアクティベーションとは一体何であり、 ETL とどのような関係があるのでしょうか。
主なポイント
- データアクティベーションの概念と従来の ETL プロセスを強化する方法
- データ駆動型の意思決定をリアルタイムで行うことを目指す企業にとって、データアクティベーションが極めて重要な理由
データアクティベーションとは
データアクティベーションとは、変換、強化、統合されたデータを運用システムやアプリケーションに統合し、それをリアルタイムのアクションや成果を促進するのに使うプロセスを指します。簡単に言うと、アナリティクスだけでなく、業務プロセス、個別化された顧客体験、マーケティングキャンペーンなど用のデータの実用化です。
従来、データパイプラインは、データをデータウェアハウスのような中央レポジトリに移動させ、そこで分析用にクエリを実行することに重点を置いていましたが、有効化されたデータはただそこに置かれるだけというわけではなく、ビジネスシステムにフィードバックされることで、その恩恵を受けられるワークフロー、ツール、チャネルにインサイトが直接適用されるようになります。
データアクティベーションが ETL を強化する方法
ETL(抽出、変換、格納)プロセスは、様々なソースからデータをウェアハウスに統合するのに長いこと使われており、それで分析とレポーティングが整えられていますが、ETL は日々進化しており、データアクティベーションはこの進化の自然な延長となっています。
データアクティベーションが従来の ETL パイプラインをどのように強化するかを以下で見てみましょう:
1.分析と行動のギャップを埋める
従来の ETL は、分析のためのデータ収集と変換に重点を置いており、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールからインサイトを得ることを目的としていますが、多くの場合、インサイトは運用システムに直接適用されることなく、レポートやダッシュボードに閉じ込められたままです。そこでデータアクティベーションが、顧客との対話、製品推奨、MA(マーケティングオートメーション)を推進するツールにそのインサイトを戻すことで、このギャップを埋めてくれます。
例えば、顧客の購買データが ETL によって変換されると、データアクティベーションによって、EC プラットフォームにリアルタイムの「おすすめ」が供給されたり、MA システムでメールがパーソナライズされたり、顧客サービスツールでアラートが発動されたりします。
2.リアルタイムデータ利用
データアクティベーションの重要な進歩のひとつに、リアルタイムのデータ利用に焦点を当てている点があります。従来の ETL プロセスは、多くの場合バッチモードで実行され、データはスケジュールされた間隔で抽出、変換、格納されますが、対するデータアクティベーションはスピードと即時性を重視していることから、運用ツールで関連データをリアルタイムに利用できるようになります。
例えば、顧客の行動データを処理してすぐに CRM(顧客関係管理)システムにプッシュすることで、リアルタイムでパーソナライズされたアウトリーチを始めることができます。データアクティベーションツールは、待ち時間を最小限に抑え、最新の情報に基づいて意思決定が行われるようにすることに重点を置かれているのです。
3.リバース ETL 機能の強化
リバース ETL は、データがウェアハウスから CRM、マーケティングプラットフォーム、営業ツールのような運用システムに逆流するデータアクティベーションのサブセットであり、これは、顧客セグメンテーションや売上予測などのデータアナリティクスから生成されたインサイトが、きちんと顧客向けシステムに効果的に適用されるようにするのに特に有用です。
リバース ETL では、従来の ETL プロセスを経たデータが単にウェアハウスに置かれるだけではなく、その代わりに、営業やマーケティングから製品、サポートに至るまで、さまざまな部門にわたって活性化されて運用されます。これにより、データワークフローのループが閉じられることから、インサイトがレポートの中だけに存在するのではなく、積極的にビジネスプロセスを改善することが保証されます。
4.データの品質と一貫性の向上
ETL プロセスでは、データが正確で一貫性があり、使えるものであることを保証するために、データのクレンジングと変換が行われますが、データアクティベーションだと、高品質なデータセットが、最も必要とするシステムに確実にプッシュされ、それによって、さまざまなプラットフォーム間でのデータの一貫性が改善され、同じ正確な情報をもとにチームが作業できるようになります。
例えば、有効化された顧客データは、CRM ツール、営業ダッシュボード、メールマーケティングシステムにプッシュすることができ、さまざまなチームがそのデータを表示および操作する方法に一貫性ができます。それで組織内の誰もが同じ見解を持つことで、意思決定や顧客とのやり取りが改善されます。
ETL によるデータアクティベーションのユースケース
1.個別化された顧客体験
データアクティベーションによって、企業は ETL データを利用して、個別化された体験を大規模に作り出すことができます。例えば、EC 企業は、ページ閲覧や購入などのユーザーとのやり取りからデータを抽出し、それを行動を理解するために変換して、閲覧履歴に基づいてユーザーに個別化された推奨商品を送ることでそのデータを有効化することができます。
2.マーケティングキャンペーンの最適化
マーケティングチームは、データアクティベーションを使って、変換されたデータをオートメーションプラットフォームにプッシュバックすることができます。これにより、顧客の行動に基づいてリアルタイムでターゲットを絞ったキャンペーンができるようになります。例えば、オンラインストアで最近カートを放棄された場合、個別化された「おすすめ商品」が記載された自動メールが送信され、ユーザーの購入完了を促すことができます。
3.カスタマーサポートの改善
ETL データをリアルタイムで有効化することで、カスタマーサポートチームは顧客とのやり取りに関する最新の情報にアクセスすることができます。例えば、顧客がサポートに連絡すると、担当者は最近の購入履歴、以前のサポートチケット、その他の関連データを即座に確認することができ、より速やかでパーソナライズされたサービスができるようになります。
4.販売予測と戦略
営業チームは、重要なインサイトを CRM ツールに直接配信することで、データアクティベーションの恩恵を受けることができます。例えば営業担当者は、ダッシュボードを手作業で検索する代わりに、コンテンツに関与した見込み客や価格設定ページを訪問した見込み客に関するアラートをリアルタイムで受け取ることができ、これによって、より効果的な働きかけができるようになり、コンバージョン率が上がります。
企業にとってのデータアクティベーションのメリット
1.意思決定の迅速化
有効化されたデータにより、インサイトは単にレポートで受動的に観察されるだけでなく、即座に行動に移されることが保証されます。データを運営システムに統合することで、企業はより良い結果につながるデータ主導の意思決定をより速やかにに行うことができます。
2. 収益と効率の向上
データがリアルタイムで有効化されれば、企業は顧客のニーズにより効果的に対応することができ、それがより良い顧客体験やロイヤルティの向上、ひいては収益の増加につながります。また、データアクティベーションで、社内のワークフローが最適化されることから、インサイトを行動に移すのに必要な手作業が削減されます。
3. チーム間の連携を促進
データアクティベーションでデータのサイロ化が解消され、組織内のさまざまなチームが正確で実用的な同じデータにアクセスできるようになります。また、マーケティング、セールス、カスタマーサービスなど、あらゆる部門が有効化されたデータでより効果的に作業できるようになることから、連携が強化され、全体的なビジネスパフォーマンスが上がります。
4.将来を見据えたデータ戦略
データが事業運営の中心になるにつれ、インサイトのリアルタイムでの運用がより必要になってくるでしょう。データアクティベーションを ETL 戦略に統合することで、企業は時代の先端を走り続け、有意義な顧客体験を提供し、データ主導の意思決定を行う能力を磨き続けることができます。
データアクティベーションにおける Integrate.io の役割
Integrate.io は、企業がデータアクティベーションのプロセスの効率化や強化を行う上で重要な役割を果たしています。ローコード、クラウドベースのデータアクティベーションプラットフォームとして、Integrate.io は様々なソース間のデータフローをシンプルにすることから、組織はさまざま業務システム間でデータの抽出、変換、有効化がしやすくなります。Integrate.io がどのようにデータアクティベーションにを対応しているかを以下で見てみましょう:
1.シームレスなリバース ETL 機能
Integrate.io で、データアクティベーションの中核であるリバース ETL が可能になります。Integrate.io で、企業は変換されたデータをウェアハウスから CRM、マーケティングプラットフォーム、カスタマーサービスアプリケーションなどの運用ツールに戻すことができるようになることで、データ分析から得られたインサイトがすぐに適用されることが保証されます。それによって、チームはリアルタイムの意思決定や個別化された顧客対応、業務改善に実用的なデータを活用できるようになります。
例えば、営業チームは Integrate.io を使って顧客の行動インサイトを CRM にプッシュし、過去のレポートではなくリアルタイムのデータに基づいてコミュニケーションを調整することができます。
2.簡単なデータ起動のためのローコードのインターフェース
Integrate.io のローコードプラットフォームを使うと、ユーザーは豊富な技術的専門知識がなくても、データアクティベーションを促進するデータパイプラインを簡単に構築することができます。これにより、ビジネスユーザー、マーケティングチーム、データアナリストは、IT チームからの必要最小限のサポートで、運用システムのデータを有効化するデータフローを設定することができます。また、Integrate.io のドラッグ&ドロップのインターフェースにより、データソースとターゲットアプリケーションを接続して即座に有効化するパイプラインを簡単に作ることができます。
3.リアルタイムデータ統合
Integrate.io は、リアルタイムのデータ取り込みと変換に対応することから、企業はデータを処理するとすぐに有効化できるようになります。顧客のやり取りのデータをマーケティングプラットフォームにストリーミングして個別化されたキャンペーンを行ったり、リアルタイムの在庫データを EC システムにプッシュしたりと、Integrate.io で業務システムが常に最新のデータで動作することが保証されます。
そしてこのリアルタイム統合により、企業は顧客の行動や市場の変化に迅速に対応し、従来の ETL プロセスよりも速やかにデータを行動に移すことができます。
4.幅広い接続性
Integrate.io の豊富な事前構築済みのコネクタライブラリを使うと、データベース、クラウドストレージ、SaaS アプリケーションなど、さまざまなソースからのデータを簡単に統合できます。これにより、Salesforce、HubSpot、Zendesk などのさまざまなプラットフォームで、異種システムのデータを一元化、変換、有効化できるようになります。そして複数のプラットフォームに接続できることで、企業はデータの一貫性を維持したり、関連データが必要なツールで有効になるようにすることができます。
5.データガバナンスとセキュリティ
データアクティベーションには、機密データの運用システムへのプッシュが含まれるため、セキュリティとガバナンスが極めて重要です。Integrate.io には、暗号化、アクセスコントロール、SOC 2(Service Organization Control Type 2)、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)、GDPR(EU一般データ保護規則)などの業界標準への準拠など、強固なデータガバナンス機能があることから、企業は規制要件を満たしながら、機密情報を損なうことなく、データモデル用にデータを安全に有効化することができます。
6.自動化とワークフロー管理
Integrate.io はデータパイプラインの自動化に対応しており、ユーザーはイベントや設定された間隔に基づいてデータアクティベーションのワークフローをスケジュールして発動することができます。この自動化により、運用システムは手作業による介入なしに新鮮でアップデートされたデータを受け取ることができることから、より効率的なビジネスプロセスとヒューマンエラーのリスクの低減につながります。
まとめ
データアクティベーションは ETL の自然な進化であり、データウェアハウスとレポーティングに焦点を当てたプロセスから、リアルタイムで実用的な洞察力を強化するプロセスへと変化しています。データを業務システムにプッシュバックすることで、企業はデータを分析だけでなく、より良い意思決定の推進、顧客体験の向上、顧客エンゲージメントの強化、業務の最適化にリアルタイムで活用することができます。
リアルタイムのデータの必要性が高まるにつれ、データアクティベーションの ETL プロセスへの統合は、競争力を維持しようとする企業にとって極めて重要になるでしょう。個別化されたマーケティングからカスタマーサポートの改善まで、データアクティベーションによって組織はデータ資産を最大限に活用し、データ収集からのインサイトを行動に移すことができるようになります。そしてデータを同期して顧客データプラットフォームを使うことで、視聴者セグメントをより的確に絞り込むことができます。
データパイプラインの自動化の開始をご検討中でしたら、当社のソリューションエンジニアにぜひご相談ください。
Q&A
1. データアクティベーションとは何ですか、従来のデータ分析とどう違うのでしょうか。
データアクティベーションとは、生のデータを運用システム、CRM などのカスタマーサクセスプラットフォーム、マーケティングプラットフォームなどにプッシュバックすることで実用化し、リアルタイムな意思決定や顧客とのやり取りなどのビジネス成果を促進するプロセスを指します。インサイトとレポーティングに重点を置く従来のデータ分析とは異なり、データアクティベーションによって、これらの分析情報がクラウド データ ウェアハウスまたはデータ レイクに移動され、ビジネス ワークフローに直接適用されるようになります。
2.データアクティベーションで ETL プロセスはどのように強化されますか。
データアクティベーションは ETL をさらに一歩進め、分析用にデータを「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」やウェアハウスに移動させるだけでなく、変換されたデータを運用システムにプッシュバックします。これにより、企業はリアルタイムでインサイトに基づいて行動し、パーソナライゼーションや MA(マーケティングオートメーション)、業務効率を改善することができる。
3.データアクティベーションの一般的なユースケースにはどのようなものがありますか。
データチームにおける一般的なユースケースには、顧客体験の個別化(リアルタイムの製品推奨など)、マーケティングキャンペーンの自動化(行動に基づいてメールを発動)、CRM システムにおける最新情報の提供によるカスタマーサポートの改善などがあります。データアクティベーションで、このようなシステムが最新のデータと連携してデータ駆動型の SNS キャンペーンのパフォーマンス分析ができるようになったり、適切なタッチポイントや UX(ユーザーエクスペリエンス)などに焦点を当てることで、顧客プロファイルのライフサイクル分析を使って意思決定が強化されたりします。
4. Integrate.io はデータのアクティベーションにどのように役立ちますか。
Integrate.io は、データスタックにローコードでリアルタイムのデータ統合と逆リバース ETL 機能を提供することで、データアクティベーションとデータ管理をシンプルにします。Integrate.io で、企業はウェアハウスから CRM やマーケティングツールのような運用システムにデータを接続、変換、プッシュバックすることができるようになることから、ファーストパーティデータなどのデータのカスタマージャーニーやチャーンのような指標を最適化するためのインサイトがすぐに実行可能であることが保証されます。